会議アジェンダと進行のプロンプト集
会議の準備に時間がかかっているとしたら、それは議題を考えることではなく、 議題を文章の形に整えることに時間を取られている可能性が高い。 アジェンダの下書き、議事メモから決定事項を抜き出す作業、参加者への 共有文の作成。この「材料はあるが、文章にする」部分はAIに任せられる。 何を議題にするか、会議で何を決めるかという判断は人が行う。 この記事では、会議のアジェンダ作成と進行に使える指示文(プロンプト)を 5本、コピーして使える形で紹介する。
会議準備・進行、AIに任せられるのはどこまでか
会議に関わる作業を工程ごとに分けると、AIが得意な部分と 人が担う部分がはっきりする。
| 工程 | 内容 | 担当 |
|---|---|---|
| 1. 議題の選定 | 何をこの会議で決めるかを決める | 人 |
| 2. アジェンダの文章化 | 箇条書きの議題を時間配分付きの進行表に整える | AI |
| 3. 進行台本の作成 | 司会が実際に話す言葉のたたき台を作る | AI |
| 4. 会議中の議論・意思決定 | 実際に話し合い、結論を出す | 人 |
| 5. 議事メモからの決定事項・ToDo抽出 | 発言記録やメモから決定事項と担当者を拾い出す | AI |
| 6. 抽出内容の事実確認 | 決定事項・担当者・期限に誤りがないか確認する | 人 |
| 7. 参加者・欠席者への共有 | 議事録を送る、次のアクションを促す | 人(文面はAI) |
AIが力を発揮するのは「決まっている材料を文章の形に整える」段階である。 何を話し合うか、誰が何を担当するかという意思決定そのものは、 会議に出ている人にしかできない。
会議関連業務で何時間減るのか
一般的な業務量から試算すると、AIに下書きを任せた場合の作業時間は 次のようになる。前提は、週1回・参加者5〜8名の定例会議 (進捗共有+議題2〜3件)を1回開催するケースである。
| 作業 | いまの時間 | AI下書き後 | 差 |
|---|---|---|---|
| アジェンダの作成 | 20分 | 8分 | 12分 |
| 進行台本の作成 | 15分 | 5分 | 10分 |
| 議事メモからの決定事項・ToDo抽出 | 30分 | 10分 | 20分 |
| 参加者への共有文作成 | 15分 | 5分 | 10分 |
| 内容の事実確認(人が実施) | 15分 | 15分 | 0分 |
試算の前提:議題や進捗の材料(箇条書きメモ、発言記録)が すでに手元にある状態からの作業時間を想定している。「いまの時間」は、 材料を見ながら文章と体裁を1人で整えている場合の目安である。 事実確認は省略できない工程のため時間は変わらない。
差し引きで、文章化にあたる4工程はおよそ80分から28分に短縮される 計算になる。会議1回あたり約52分、週1回の定例会議であれば 月3〜4時間ほどが目安になる。実際の削減幅は会議の規模や 議題の複雑さによって変わる。
指示文1:議題メモからアジェンダのたたき台を作る
「話したいこと」を箇条書きにしただけのメモを、時間配分付きの アジェンダの形に整える指示文。
以下は会議で話し合いたい議題の箇条書きメモです。
このメモをもとに、会議のアジェンダのたたき台を作成してください。
条件:
- 会議の持ち時間は【60分】、参加人数は【6名】とする
- 議題ごとに「目的(決めること・共有すること)」「想定時間」を
セットで書く
- メモに書かれていない議題を勝手に追加しない
- 議題の並び順は、重要度の高いものを前半に置く形で提案する
(ただし最終判断は主催者が行う前提とする)
---
(議題メモを貼り付ける)
---
「持ち時間」と「参加人数」を条件に入れておく。この2つを渡さないと、 実際の枠に収まらない分量のアジェンダが出てくることが多い。
指示文2:会議の進行台本(司会用)を作る
アジェンダをもとに、司会が実際に話す言葉のたたき台を作る指示文。
以下は会議のアジェンダです。このアジェンダをもとに、
司会が読み上げる進行台本のたたき台を作成してください。
条件:
- 会議の開始・各議題への切り替わり・終了の挨拶を含める
- 話し言葉で書く(書き言葉の文章にしない)
- 各議題の冒頭で「この議題で決めたいこと」を一言で伝える
一文を入れる
- 台本はあくまでたたき台であり、当日の進行は司会の判断に
委ねる前提で作成する
---
(アジェンダを貼り付ける)
---
台本を丸読みすることを想定していない。話す内容の骨組みを 先に用意しておくことで、当日の準備時間を減らすための指示文である。
指示文3:議事メモから決定事項とToDoを抽出する
会議中に取ったメモや発言記録から、決定事項と担当者・期限を 拾い出す指示文。
以下は会議中に取ったメモ(発言記録)です。このメモから、
「決定事項」「担当者」「期限」「保留・持ち帰り事項」を
分けて抽出してください。
条件:
- メモに担当者や期限が明記されていない場合は、
推測で埋めずに「未定」と書く
- 決定事項と、単なる意見・アイデアを混同しない
(決定に至っていない発言は「保留・持ち帰り事項」に分類する)
- 抽出結果は表の形で出力する
---
(会議メモ・発言記録を貼り付ける)
---
「担当者や期限を推測で埋めない」という条件が最も重要である。 メモに書かれていない担当者をAIが自然な流れで補ってしまうと、 実際には誰も担当していないタスクが決定事項として残ってしまう。
指示文4:議事録を参加者・欠席者向けの共有文に変換する
抽出した決定事項をもとに、参加者と欠席者それぞれに向けた 共有文を作る指示文。
以下は会議の決定事項とToDoの一覧です。この内容をもとに、
社内で共有するための文面を2種類作成してください。
条件:
- 1つ目は会議に参加した人向け(決定事項の確認と、
各自のToDoの再確認が目的)
- 2つ目は欠席者向け(会議の要点と、欠席者に関係する
決定事項があれば分かるように書く)
- どちらも箇条書きを中心にし、長い説明文にしない
- 一覧に無い情報(背景の説明や理由づけ)を新しく作らない
---
(決定事項とToDoの一覧を貼り付ける)
---
参加者向けと欠席者向けで求められる情報量が違うため、 1つの文面で兼用せず、あえて2種類に分けて作らせている。
指示文5:前回の議事録から次回会議のアジェンダ叩き台を作る
前回会議の積み残し事項をもとに、次回のアジェンダの叩き台を作る指示文。
以下は前回の会議の議事録です。この中の「保留・持ち帰り事項」と
「期限が来ているToDo」をもとに、次回会議のアジェンダのたたき台を
作成してください。
条件:
- 前回の議事録に書かれていない新しい議題を追加しない
- 各議題に「前回どこまで話したか」を一言添える
- 期限が過ぎているToDoがあれば、それを議題の冒頭にまとめて
一覧化する
---
(前回の議事録を貼り付ける)
---
積み残し事項の管理が抜けると、同じ議題が形を変えて 何度も会議に出てくる原因になる。前回の記録を材料にすることで、 議題の作成と積み残しの管理を同時に行える。
会議アジェンダ・進行でよくある失敗
- 議題の優先順位までAIに決めさせてしまう:AIは並び順の 提案はできるが、何を優先するかという経営判断はできない
- 議事メモの担当者・期限を推測で埋めさせてしまう:メモに 無い情報を自然な文章として補われると、実際には誰も 担当していないタスクが決定事項として残る
- 決定事項と単なる意見を混同したまま抽出させる:指示文3の ように「保留・持ち帰り事項」を別枠にしないと、決まっていない ことまで決定事項として共有されてしまう
- 共有文を送った後の事実確認を省略する:AIが作った 決定事項一覧は、参加者に確認してもらってから送る
これらはいずれも、文章を整える作業と、内容の正しさを 判断する作業を同じ工程だと思い込んだときに起きている。
会議アジェンダ・進行AIを始める順番
いきなり全社の会議に導入するのではなく、次の順番で 試すと失敗しにくい。
- 週1回の定例会議1つだけで試す(毎回参加者が固定されている 会議から選ぶ)
- 議題メモを箇条書きで用意する(この時点ではAIを使わず、 人が議題を洗い出す)
- 指示文1でアジェンダのたたき台を作る
- 会議後、指示文3で議事メモから決定事項を抽出する
- 抽出結果を主催者が確認してから共有文にする(指示文4)
- 問題なければ他の定例会議にも広げる
最初から複数の会議に同時導入すると、抽出した決定事項の 確認が追いつかず、誤った内容のまま共有されるリスクが上がる。 1つの会議で確認の流れが回ることを確かめてから広げる。
よくある質問
Q. オンライン会議の録画・文字起こしをそのままAIに読み込ませて 議事録にできますか。 文字起こし機能や録画データの取り込みに対応しているかは ツールによって異なる。利用している会議ツール・AIツールが文字起こしに 対応しているかは、それぞれの公式ドキュメントで最新の対応状況を確認する。 対応していない場合は、書き起こしたテキストやメモを貼り付ける形で使う。
Q. 複数部署が参加する合同会議でも同じ指示文を使えますか。 使えるが、指示文1の「持ち時間」「参加人数」に加えて、 部署ごとの議題の持ち時間を条件に加えると、 特定部署の議題に時間が偏るのを防ぎやすい。
Q. 決定事項の抽出結果に、実際には決まっていないことが 混じっていたらどうすればよいですか。 指示文3の「保留・持ち帰り事項」に分類されているかを確認する。 それでも決定事項に混ざっている場合は、元の会議メモの記述が 曖昧である可能性が高く、メモ自体の書き方を見直す必要がある。
Q. 毎回参加者が変わる会議でもアジェンダの下書きに意味は ありますか。 ある。参加者が変わっても、議題を時間配分付きの形に整える 作業自体は毎回発生するため、指示文1の負担軽減効果は変わらない。
Q. 従業員数名の小さな会社でも、会議のアジェンダ作成にAIを 使う意味はありますか。 ある。人数が少ない会社ほど、会議のたびに同じ人がアジェンダ作成と 議事録作成の両方を担っていることが多く、その負担が積み重なりやすい。 指示文1と指示文3だけでも、1人あたりの準備・記録の負担が下がる。
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Q1. 会議で何を決めるか(議題の優先順位や進行の判断)は、AIではなく主催者が決める必要がある。
○ — AIが任せられるのはアジェンダや議事録の下書きまでで、何を議題にするかの判断は主催者が行う(本文参照)。
Q2. 議事録から決定事項とToDoを抽出する作業は、AIに任せられる。
○ — 会議メモや発言記録から決定事項・担当者・期限を拾い出す整形作業はAIに任せられる(本文参照)。
Q3. 会議中に誰が何を発言したかの録音・書き起こしをそのまま議事録として使えば、参加者への確認は不要である。
× — 書き起こしをもとにした要約や決定事項は、内容に誤りがないか人が確認する必要がある(本文参照)。