Claude Codeのスキル(スラッシュコマンド)の作り方
「同じ指示文を、毎回一からAIに打ち込むのは面倒ではないか」と感じたことはないでしょうか。 議事録の要約、日報の体裁チェック、メール文面のたたき台。 やっていることが毎回同じなら、その指示文を1つのファイルに保存しておき、 「/議事録要約」のような短い呼び出し名だけで動かせます。これがスラッシュコマンドです。 作るのに専門知識は要りません。日本語の指示文を書けるかどうかだけが分かれ目です。
スラッシュコマンドは何を省略する仕組みか
スラッシュコマンドは、AIチャットに毎回入力している「決まった指示文」を 1つのファイルに保存し、短い呼び出し名で再利用できるようにする仕組みです。
普段のAI活用では、次のようなやり取りを毎回タイプし直している会社が多いはずです。
- 「この議事録を、決定事項・持ち越し事項・次回までの宿題の3つに分けて要約して」
- 「この日報を、誤字と数字の矛盾だけチェックして、直す箇所を一覧にして」
- 「このメモを元に、見積送付の案内メールの下書きを作って」
これらは毎回言葉を変えて打ち込む必要はなく、1回だけ指示文を作ってファイルに保存すれば、 以降は呼び出し名と対象ファイルを渡すだけで同じ動きを再現できます。
指示文の打ち込みに、いまどれくらい時間を使っているか
繰り返し使う指示のパターンが社内に何種類あるかを数えると、削減できる時間が見えてきます。
前提を次のように置きます。
- 議事録要約・日報チェック・メール下書き依頼の3パターンを、1人が1日1回ずつ使う
- コマンド化する前は、指示文をゼロから書くのに1回あたり平均5分かかる (何をどう分けてほしいか、条件を毎回言葉にする時間を含む)
- コマンド化した後は、呼び出し名と対象ファイル名を入力するだけで1回あたり1分
- 月の営業日を20日とする
| 業務 | いまの時間(月) | コマンド化後の時間(月) | 差 |
|---|---|---|---|
| 繰り返し指示の入力(3パターン×1日1回) | 5時間(3回×5分×20日÷60) | 1時間(3回×1分×20日÷60) | 4時間 |
この試算は架空の会社の数字ではなく、前提を置いた計算です。 コマンド自体を作る作業に、最初だけ1パターンあたり30分前後かかります。 月4時間の削減効果が出るのは、2〜3か月目以降になります。 自社で実際にどれだけ繰り返し指示があるかは、まず1週間分を書き出して数えることをおすすめします。
作り方は3ステップ
Claude Codeでスラッシュコマンドを作る手順は、大きく分けて3段階です。
- 繰り返し使っている指示文を見つける:過去のAIとのやり取りを見返し、 「これ、前にも同じことを頼んだ」と感じる指示を3〜5個選ぶ
- 指示文をファイルとして保存する:呼び出したい名前のフォルダを専用の置き場所に作り、 その中に指示文を書いたファイルを保存する
- 短い呼び出し名で試す:「/(ファイル名)」のように打ち込み、 意図した動きになるか確認する。ずれていれば指示文を書き直す
保存場所は2種類あります。パソコン全体のどのフォルダで作業していても使いたいなら 「ホームフォルダの中の.claude/skills/」、特定の仕事のフォルダだけで使うなら 「そのフォルダの中の.claude/skills/」の下に、呼び出したい名前のフォルダを作り、 その中に「SKILL.md」という名前でファイルを保存します (Claude Code公式ドキュメント code.claude.com/docs/en/skills、2026年9月時点)。 以前は「.claude/commands/」に指示文のファイルを1つ置く形式でしたが、 現在はこの「SKILL.md」形式に統合されています。古い形式のファイルも引き続き使えます。
実例:議事録要約コマンドを作ってみる
具体的な中身のイメージをつかむために、議事録要約コマンドの指示文の例を挙げます。
この会議の議事録を読み、次の3つに分けて要約してください。
1. 決定事項(誰が・何を・いつまでに)
2. 持ち越しになった論点
3. 次回までに誰が何をするか
箇条書きで、1項目1行にまとめてください。
このテキストをファイルに保存しておけば、次回以降は議事録のファイルを渡して 呼び出し名を打つだけで、同じ形式の要約が出てきます。 「決定事項を先に」「箇条書きで」といった、いつも念押ししている条件を 書き直す手間がなくなります。
スキルとスラッシュコマンドは別々の機能なのか
似た言葉に「スキル」があります。現在のClaude Codeでは、スラッシュコマンドとスキルは 別々の仕組みではなく、同じ1つの仕組みに統合されています (Claude Code公式ドキュメント code.claude.com/docs/en/skills、2026年9月時点)。
- 何も設定しなければ、作った指示文は「人が/名前と打って呼ぶ」ことも、 「AIが会話の流れから、この指示が使えそうだと自分で判断して読み込む」ことも、 どちらもできます
- 「人が明示的に呼んだときしか動かない」ようにしたいときは、 指示文ファイルの一番上に、その旨を指定する設定を一行書き足します
削除・送信のように、勝手に動くと困る指示文は、後者の「人が明示的に呼んだときしか動かない」 設定にしておくと安全です。「いつも自分が使うボタンにするか、AIが状況を見て 自分で選ぶ道具箱にするか」を、1つの指示文ファイルの中の設定で選べる、という考え方です。
作るときに注意すること
指示文をボタン化するということは、危険な操作もボタン1つで実行できてしまう、 ということでもあります。次の点には注意が必要です。
- 削除・送信を伴う指示は、確認なしで実行される作りにしない: 「このフォルダの古いファイルを消して」「このメールを送って」といった指示を そのままコマンド化すると、呼び出した瞬間に実行されてしまいます。 削除や送信を含む場合は、実行前に対象を一覧表示させ、人が確認する手順を挟みます
- 個人情報や取引先の機密情報を含む指示文は、保存場所に注意する: コマンドのファイルは社内の他の人からも見える場所に置くことが多いため、 実在の顧客名や金額をそのまま指示文に書き込まない
- 最初は「読む・要約する・下書きを作る」だけのコマンドから始める: 実際にファイルを書き換えたり外部に送信したりするコマンドは、 誤操作の被害が大きいため、慣れてから段階的に増やす
社内で共有する方法
作ったコマンドは、テキストファイル1つなので、そのままコピーすれば 他の社員にも同じ動きを使ってもらえます。
- 決まったフォルダにコマンドのファイルをまとめておき、全員がそこを見に行く運用にする
- コマンド名の一覧と「何をするコマンドか」を1枚のメモにしておくと、 他の社員が迷わず使える
- 指示文を直す担当者を1人決めておくと、勝手に書き換えられて動きが変わる事故を防げる
よくある質問
Q. プログラミングの知識がなくても作れますか。 指示文自体は日本語の文章で書くため、プログラミングの知識は必要ありません。 ただし、ファイルの置き場所や保存形式などツールの操作には一定の慣れが要ります。 最初の数個は、パソコン操作に慣れた担当者が作り、他の社員は呼び出すだけにすると導入しやすくなります。
Q. スラッシュコマンドとスキルは、どちらを先に作ればいいですか。 前述のとおり、いまは同じ仕組みの中の設定の違いなので、 どちらを先に作るか選ぶ必要はありません。 最初のうちは、作った指示文をすべて「人が/名前と打ったときしか動かない」設定にしておくことをおすすめします。 いつ・何が動いたかが分かりやすく、危険な操作が紛れ込んでいないかも確認しやすいためです。 使い方に慣れてから、AIが会話の流れで自動的に使う設定に広げる順番が安全です。
Q. Claude Codeは無料で使えますか。 無料プランでは使えません。2026年9月時点で、Claude Codeを使うには 月額20ドル(年払いなら月額17ドル)からの有料プラン(Proプラン以上)への加入が必要です (Claude公式サイトの料金ページ claude.com/pricing、2026年9月時点)。 価格や条件は変更されることがあるため、導入前に公式サイトで最新の内容を確認してください。
Q. 議事録要約以外に、どんな業務をコマンド化できますか。 「毎回言葉を変えて同じことを頼んでいる」作業であれば対象になります。 日報の体裁チェック、見積書のたたき台作成、問い合わせメールの一次分類などが候補です。 反対に、案件ごとに判断基準が変わる業務(与信判断や値引き交渉など)は コマンド化に向きません。
Q. 社員数が少ない会社でも導入する意味はありますか。 繰り返す指示の種類が少なければ、削減できる時間も小さくなります。 まず自社で「同じ指示を何回繰り返しているか」を1週間書き出し、 件数が少なければ無理に導入せず、他の業務の効率化を優先することをおすすめします。
読んだ内容の確認に3問だけ。押すと答えが開きます。
Q1. スラッシュコマンドは、人が「/コマンド名」と入力しない限り動かない。
○ — 本文で述べたとおり、スラッシュコマンドは呼び出すまで待機する仕組みで、AIが自分の判断で勝手に実行することはない。
Q2. ファイルを削除する指示をスラッシュコマンドに書いた場合、確認なしにそのまま実行させてよい。
× — 本文の注意点のとおり、削除や送信を伴うコマンドは実行前に内容を人が確認できる作りにする必要がある。
Q3. 一度作ったスラッシュコマンドのファイルは、他の社員に渡しても同じ動きを再現できる。
○ — 本文で説明したとおり、コマンドの中身は1つのテキストファイルなので、コピーして共有すれば同じ指示を他の人も使える。


