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総務

社内でAIツールが乱立したときの整理のしかた

結論

AIツールの整理で最初にやるべきは、便利な1つに絞り込むことではなく、いま社内で何が使われているかを全部洗い出すことです。部署ごとに契約したツールが重なっていないか、退職者のアカウントが残っていないかを確認しないまま「統合しよう」と決めても、抜け漏れが出ます。一般的な業務量から試算すると、洗い出しと整理そのものにかかる時間は担当者1人あたり月数時間程度ですが、放置した場合の重複コストと管理の手間はそれ以上に膨らみます(後述)。

なぜ社内でAIツールは気づけば増えているのか

AIツールの乱立は、誰か1人が無計画に契約を重ねた結果ではありません。多くの場合、次のような経緯が積み重なって起きます。

  • 部署やチームが個別に、月額数千円のAIツールを自分たちの判断で契約している
  • 全社導入したツールがあるのに、以前から使っていた別のツールを併用したまま止めていない
  • 無料プランで試したツールが、誰も使わなくなった後もアカウントだけ残っている
  • 担当者が異動・退職した後、契約の存在自体を引き継いだ人が把握していない

1つ1つの契約は少額で、個別の判断としては間違っていないことが多いです。問題は、全社で見たときに何がいくつあるかを誰も把握していない状態になることにあります。

放置すると何が起きるか

ツールの乱立を整理しないまま放置すると、次のような形でコストとリスクが積み上がります。

起きること 内容
費用の重複 似た機能のツールに複数の部署が別々に課金している
管理の手間 契約数が多いほど、更新・解約・問い合わせの対応に時間がかかる
データの散在 業務データが複数のツールに分散し、どこに何があるか分からなくなる
アカウントの放置 退職者・異動者のアカウントが残り、外部からのアクセス経路になり得る
従業員の混乱 同じ作業をどのツールでやればよいか、社内で統一されていない

このうち費用の重複と管理の手間は、後述の棚卸しで数字として見える化できます。データの散在とアカウントの放置は、金額に換算しにくい分、後回しにされがちですが、情報の扱いに関わる分だけ影響は大きくなります。

まず全部洗い出す:棚卸しの進め方

整理の前に、判断材料を1か所に集める必要があります。次の順番で棚卸しを進めます。

  1. 経理の支払い記録(クレジットカード明細・請求書)から、AI関連の支払いを全て抜き出す
  2. 各部署に「いま使っているAIツール」を申告してもらう(経理記録に出ない無料プランを拾うため)
  3. ツールごとに「契約者」「利用者数」「月額費用」「主な用途」を1つの表にまとめる
  4. 利用状況(直近1か月のログイン有無など)が確認できるツールは、実際に使われているかを確認する

経理記録と部署への申告は、片方だけでは漏れが出ます。経理記録には無料プランや個人の立て替えが出てきませんし、部署への申告だけでは忘れられているツールが拾えません。両方を突き合わせて初めて、全体像が見えてきます。

残す・統合する・やめるの判断基準

棚卸しの表ができたら、ツールごとに次の3つに分類します。

分類 判断の目安
残す 全社または特定部署で継続的に使われており、代わりが無い機能を持つ
統合する 別のツールと機能が重なっており、1つにまとめても業務に支障が無い
やめる 直近1〜2か月ログインが無い、または契約者が異動・退職している

判断に迷うツールは、いったん保留にせず「次回の見直しまで残す」と期限を決めて扱います。期限を決めずに保留にすると、そのツールが次の棚卸しでも同じように残り続けます。

整理にどれくらいの時間がかかるか

従業員50名、部署ごとの個別契約で8つのAIツールが動いている会社を想定して試算します。

作業 いまの時間(月間・整理前の管理工数) 整理後
各ツールの契約状況・利用状況の確認 3時間 0.5時間 2.5時間
部署からの問い合わせ対応(どれを使えばよいか等) 2時間 0.5時間 1.5時間
請求書・契約更新の確認 2時間 1時間 1時間
合計 7時間 2時間 5時間

前提は次のとおりです。

  • 従業員50名、部署ごとに個別契約したAIツールが8つ稼働している状態を想定している
  • 「いまの時間」は、複数ツールを個別に管理する場合の一般的な業務量から試算した目安であり、実測データではない
  • 「整理後」は、ツール数を絞り込み、契約・利用状況を1つの表で管理する運用を想定している
  • ツール数が多い会社、部署の裁量が大きい会社ほど、整理による工数の差は大きくなる

この表には、重複契約をやめたことで浮く費用は含めていません。管理工数だけでも月5時間前後が空く計算になり、費用の重複分はここに別途上乗せされます。

データと権限の整理も同時に行う

ツールの契約を整理するときは、費用面と同時にデータとアカウント権限も見直す必要があります。

  • 退職・異動した従業員のアカウントが、契約を解約した後も残っていないか確認する
  • 無料版のAIツールでは、入力した内容が学習に使われる設定になっている場合がある(本文末のFAQ参照)。整理の過程で設定を確認する
  • 顧客情報や社外秘のデータを、社内で許可していないAIツールに入力していないかを確認する
  • やめるツールに保存されているデータを、必要な範囲で別の場所に移してから解約する

アカウントの放置と設定の未確認は、金額としては見えないリスクです。ツールの数を減らす作業と合わせて、この2点を点検リストに入れておく必要があります。

整理した後の再発防止ルール

棚卸しと整理を1回やっても、社内でのルールが無ければ数か月後にまた同じ状態に戻ります。再発を防ぐには、次のようなルールを整えておきます。

  • 新しいAIツールを使い始める前に、担当部署または情報システム担当への申請を必須にする
  • 申請時に「既存のツールで代替できないか」を確認する項目を設ける
  • 半年に1回など、定期的に契約状況の棚卸しを行う日を決めておく
  • 退職・異動が発生したときに、アカウントの棚卸しを人事の手続きに組み込む

申請フローを設けると現場の判断が遅くなると懸念されることがありますが、目的は禁止ではなく可視化です。何を使ってよいかが分かっていれば、申請自体は数分で済みます。

よくある質問

Q. AIツールを何個から「乱立」と呼びますか。 決まった基準はありません。全社の契約状況を誰も一覧できていない状態であれば、ツールが2〜3個でも実質的には乱立と同じ問題を抱えています。

Q. 統合するツールを選ぶとき、料金の安さだけで決めてよいですか。 料金は判断材料の1つですが、利用者数や既存データの移行のしやすさも合わせて確認する必要があります。安いツールに一本化してもデータが移せなければ、かえって手間が増えます。

Q. 無料版のAIツールで、入力内容が学習に使われないようにできますか。 主要なツールでは、設定画面から学習への利用を無効にできます。ChatGPTは「設定」の「データコントロール」から「みんなのためにモデルを改善する」をオフにすると、以降の会話は学習に使われなくなります(OpenAIヘルプセンター)。Geminiは「アクティビティ」の保存(Keep Activity)をオフにすると、以降のやり取りは学習に使われなくなります(Google Geminiアプリのヘルプ)。ただし既定の設定や手順はツールごとに異なるため、契約前後に確認してください。

Q. 小さい会社(従業員10名程度)でも棚卸しをする意味はありますか。 部署の数が少ない会社でも、個人の判断で契約したツールが積み重なっていることは珍しくありません。人数が少ない分、棚卸しにかかる時間も短く済みます。

Q. 棚卸しは誰が担当するべきですか。 情報システム担当がいる会社ではその担当者、いない会社では総務や経理など支払い記録を扱う部署が適しています。全社の契約状況を1人が把握できる体制にすることが重要です。

理解度チェック

読んだ内容の確認に3問だけ。押すと答えが開きます。

Q1. 部署ごとに別々のAIツールを契約している状態を放置すると、似た機能に二重で料金を払い続けている可能性がある。

— 部署ごとの個別契約は重複する機能への二重課金を招きやすいと本文で述べている。

Q2. 退職した社員のAIツールアカウントは、放置しても業務データの漏洩リスクは発生しない。

× — 退職者アカウントの放置はデータへの外部アクセスや情報漏洩のリスクになると本文で述べている。

Q3. 新しいAIツールを使い始める前に申請するルールを作ることは、乱立の再発を防ぐことに役立つ。

— 申請フローを整えることが乱立の再発防止になると本文で述べている。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、制度・料金・ツールの仕様は公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。書いているのは社外AI推進室(福岡)の運営者です。誤りはお問い合わせから知らせてください。