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採用面接の記録と評価メモをAIで残す

結論

面接が終わった直後は覚えていた候補者の受け答えを、1週間後の合否会議で正確に思い出せるでしょうか。多くの場合、面接官の手元に残るのは「良い印象だった」「少し不安」といった断片的なメモだけです。面接記録でAIに任せられるのは、発言の文字起こしと評価項目ごとの整理までです。合否そのものの判断、評価点の食い違いをどう扱うかの判断は、引き続き人が行う必要があります。一般的な業務量から試算すると、面接1件あたり約20分の記録作業が空く計算になります(後述の試算)。

なぜ面接記録は「あとで役に立たない」ことが多いのか

面接直後のメモが薄くなりやすいのは、面接官が「話す」「聞く」「書く」を同時にこなしているためです。候補者への質問を考えながら、同時に評価シートへの記入まで終わらせるのは負担が大きく、結果として記録は簡略化されます。

その結果、次のような問題が起きます。

  • 合否会議の時点で、面接官本人も細かいやり取りを覚えていない
  • 評価シートに書かれた一言(「コミュニケーション良好」等)だけでは、他の面接官と評価をすり合わせられない
  • 不合格にした理由を、あとから候補者や社内に説明する材料が残っていない

記録が薄いことの影響は、合否判断そのものより「あとから振り返れない」ところに出ます。同じ候補者を2回目の面接に呼ぶかどうかを決めるとき、1回目の記録が曖昧だと、結局もう一度似た質問を繰り返すことになります。

面接記録のどこにAIを使えるのか

面接記録の工程を分けると、AIに向く部分と人が担う部分がはっきりします。

工程 内容 担当
1. 発言の文字起こし 面接中の会話を文字データにする AI
2. 評価項目ごとの整理 文字起こしを「経験」「志向性」「受け答え」等の項目に仕分ける AI(人が確認)
3. 要点の要約 各項目の発言を数行にまとめる AI(人が確認)
4. 評価点の記入 項目ごとに点数・所見を付ける
5. 面接官間のすり合わせ 評価が割れた場合にどちらを取るか決める
6. 合否の判断 記録・評価点をもとに合否を決める

AIが力を発揮するのは、面接中の発言を漏らさず残し、あとから見返せる形に整理するところまでです。評価点を付ける行為そのものと、評価が割れたときの調整は、候補者の話し方や職場との相性まで踏まえた人の判断が必要です。

文字起こしと整理、AIにどこまで任せられるか

面接の音声を文字にする作業自体は、決まった手順で進められるためAIに向いています。ただし、そのまま使ってよいわけではなく、次の条件が必要です。

  • 面接開始前に、候補者へ録音・記録を行うことを伝え、同意を得ている
  • 文字起こしの結果を、評価に使う前に面接官が一度目を通している
  • 誤変換や聞き取りづらい箇所が、評価項目の解釈を変えてしまっていないか確認している

文字起こしの精度は、会話の重なりや専門用語によって下がることがあります。整理された文章をそのまま評価シートに転記するのではなく、面接官が「実際にそう言っていたか」を確認する一手間を挟む必要があります。

一般的な業務量から試算した削減時間

面接記録にかかる時間を、面接1件あたりの作業内容から試算すると次のようになります。

業務 いまの時間(面接1件あたり) AI活用後
面接中のメモ取り・清書 15分 3分(確認のみ) 12分
評価シートへの転記 10分 3分(確認のみ) 7分
合否会議前の見返し 5分 2分(要約を確認) 3分
合計 30分 8分 22分

試算の前提: 面接官1人が担当する面接を月8件として計算しています。1件あたり22分の差を8件分に換算すると、月3時間前後が空く計算になります。面接官が複数の候補者を並行して見ている会社ほど、記録の見返しにかかる時間の削減効果は大きくなります。実際の削減時間は、面接の長さや評価項目の数によって変わります。

面接官が複数いる場合、記録はどう役立つか

1人の候補者に複数の面接官が関わる場合、それぞれの評価が食い違うことがあります。このとき、記録が薄いと「なぜその評価を付けたのか」を突き合わせる材料がなく、声の大きい人の意見に寄ってしまうことがあります。

整理された記録があると、次のことがしやすくなります。

  • 評価が割れた項目について、どの発言を根拠にしたのかを確認する
  • 前の面接官が聞いた内容を、次の面接官が重複して質問せずに済む
  • 選考が長引いた候補者について、各段階でどう評価が変わったかを追える

ただし、記録をどう解釈し、評価点の食い違いをどちらに寄せるかは、選考基準に照らした人の判断です。AIが整理した記録は「判断の材料」であり、「判断の代わり」にはなりません。

任せられない判断:評価点と合否

面接記録の整理が進んでも、次の判断は人が担う必要があります。

  • 候補者の発言や態度から、評価項目ごとの点数を決めること
  • 複数面接官の評価が割れた場合に、どちらの評価を優先するかを決めること
  • 記録・評価点をもとに、合格・不合格を最終的に判断すること
  • 評価シートに残す所見が、候補者への不利益な決めつけになっていないかを確認すること

これらは候補者との相性や職場の状況を踏まえて決める必要があり、機械的なルールだけでは判断できません。AIが「発言量が少ない」「特定の質問への回答が短い」といった特徴を抽出する機能を持つ場合でも、そこから何を評価するかは人の役割です。

記録を残すときに注意すること

面接の記録・評価メモを残す際は、次の点に注意が必要です。

  • 録音・記録を行うことは、面接開始前に候補者へ伝え、同意を得る(伝えずに録音することはトラブルの原因になります)
  • 記録した音声・文字データの保管期間と、誰がアクセスできるかを決めておく
  • 個人情報の取得・利用目的をどう扱うかは、職業安定法に基づく「求職者等の個人情報の取扱いに関する指針」(平成11年労働省告示第141号、最終改正:令和4年4月1日厚生労働省告示。労働者の募集を行う事業主にも適用される)に沿って社内ルールを整える
  • 不合格になった候補者の記録をいつまで残すか、社内で基準を決めておく

記録の残し方に関するルールは会社ごとに整備状況が異なります。AIツールを導入する前に、社内の個人情報の取り扱い規程と照らし合わせておく必要があります。

導入の進め方

面接記録の自動化は、いきなり全ての面接に適用せず、次の順番で進めると失敗が少なくなります。

  1. 候補者への同意の取り方(何をどう伝えるか)を先に決める
  2. 文字起こし・要約だけを試験的に使い、評価点の記入は従来どおり人が行う期間を置く
  3. 面接官同士で、AIが整理した記録の見え方に問題がないかをすり合わせる
  4. 問題がなければ、評価シートへの転記までAIに任せる範囲を広げる

文字起こしツールの精度・料金は変わりやすいため、契約前に公式ページで最新の内容を確認してください(2026年9月時点)。

よくある質問

Q. 面接官が1人しかいない小さい会社でも、面接記録の自動化に意味はありますか。 A. 面接官が1人でも、あとから記録を見返せる形にしておくことで、2回目の面接や合否会議での手戻りを減らせます。

Q. 候補者が録音を断った場合はどうなりますか。 A. 候補者の同意が得られない場合は録音・自動記録は行わず、従来どおり手書き・手入力のメモで記録します。

Q. 文字起こしの精度が低い面接(専門用語が多い、声が聞き取りづらい等)ではどうすればよいですか。 A. 文字起こしの結果をそのまま使わず、面接官が発言内容と照らし合わせて修正したうえで評価に使う必要があります。

Q. 評価が面接官によってばらつく問題は、記録を残すだけで解決しますか。 A. 記録を残すだけでは解決しません。評価項目ごとにどの発言を根拠にしたかを記録に残し、面接官間ですり合わせる場を別に設ける必要があります。

Q. 不合格にした候補者の記録は、いつまで残せばよいですか。 A. 個人情報保護委員会のQ&Aには、個人情報の保存期間や廃棄すべき時期についての規定はないと明記されています(公的統計はなく、このサイト独自の目安)。会社ごとに、いつでも返却・廃棄できる状態にしたうえで保管期間の基準を決める必要があります。

理解度チェック

読んだ内容の確認に3問だけ。押すと答えが開きます。

Q1. 面接での発言を文字に起こし、評価シートの項目ごとに整理する作業は、AIに任せられる。

— 決まった項目に沿って発言を仕分ける作業は、AIに任せやすい部分として本文で挙げている。

Q2. 複数の面接官が同じ候補者に違う評価点を付けた場合、どちらが正しいかをAIが決めてよい。

× — 評価点の食い違いをどう扱うかは、選考基準に照らした人の判断が必要だと本文で述べている。

Q3. 面接の様子を録音・記録すること自体は、候補者の同意なしに行ってよい。

× — 録音・記録を行う場合は、事前に候補者へ伝えて同意を得る必要があると本文で述べている。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、制度・料金・ツールの仕様は公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。書いているのは社外AI推進室(福岡)の運営者です。誤りはお問い合わせから知らせてください。