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建設業の工事写真の整理と台帳作成をAIで楽にする

結論

工事写真の整理と台帳作成は、黒板の転記・フォルダ分け・台帳への貼り付けという「決まった手順の繰り返し」でできています。 この繰り返し部分だけをAIに任せると、一般的な業務量から試算して月12〜18時間が空く計算になります(後述の試算・前提つき)。 一方で、契約金額や施工体制の正誤確認、発注者への提出判断は、これまでどおり人が担います。 「写す・仕分ける・下書きを作る」をAIに、「確認して出す」を人に、という役割分担が土台になります。

工事写真の整理と台帳作成、何にそんなに時間がかかるのか

現場で発生する作業を分解すると、次のようになります。

  • 撮影した写真を、工種・撮影日・工程ごとにフォルダへ仕分ける
  • 黒板に書かれた工事名・測点・数値をパソコンに打ち直す
  • 工事写真台帳ソフトに写真を貼り付け、説明欄の文章を入力する
  • 施工体制台帳(下請の会社名・技術者名・契約内容などをまとめた書類)に、契約書の内容を転記する

これらは1件あたりの作業は小さいものの、現場が動くたびに発生するため、月単位で見ると大きな時間になります。 特に写真の枚数が多い現場では、仕分けと転記だけで丸1日かかることも珍しくありません。

工事写真整理・台帳作成のどこにAIが使えるのか

AIに任せられる作業は、次の3種類に絞られます。

  • 読み取り:写真に写った黒板の文字(工事名・測点・日付など)を、テキストとして読み取る作業
  • 仕分け:読み取った内容をもとに、工種や工程ごとにファイル名やフォルダを機械的に振り分ける作業
  • 下書き作成:契約書やメモの内容から、台帳の記載欄に入れる文章の下書きを作る作業

いずれも「もとになる情報がすでにあり、それを写す・整える」作業です。 黒板の文字が薄い、逆光で読みにくいといった場合は読み取り精度が落ちるため、機械が読んだ内容をそのまま使わず、人が目を通す工程は残します。

工事写真整理でAIに任せられないこと

次の3つは、AIではなく人が担う業務です。

  • 施工体制台帳の内容確認:下請契約の金額や技術者の配置が実態と合っているかの確認は、責任が伴うため人が行います。建設業法上、下請契約の代金額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)になる場合、施工体制台帳の作成が義務付けられています。この基準は2025年2月1日に引き上げられたものです(建設業法第24条の8、建設業法施行令第7条の4。国土交通省発表)
  • 発注者への提出判断:台帳や写真の内容に不備がないか最終確認し、提出してよいと判断するのは人の仕事です
  • 現場の安全・品質に関わる判断:写真に写った施工状況が基準を満たしているかどうかの判断は、AIの読み取り作業とは別の話です

AIが担うのは「材料をそろえて下書きを作る」ところまでで、「その下書きで問題ないか」を決めるのは人です。

工事写真整理・台帳作成で何時間減るか(試算)

一般的な業務量から試算すると、次のようになります。

業務 いまの時間(月) AI化後(月)
写真の仕分け・フォルダ分け 8時間 2時間 6時間
黒板情報の転記 6時間 2時間 4時間
台帳の説明欄の文章作成 5時間 2時間 3時間
施工体制台帳の下書き転記 5時間 2時間 3時間
合計 24時間 8時間 16時間

試算の前提は次のとおりです。

  • 月あたり現場稼働20日、1現場で撮影する工事写真は平均150〜200枚を想定
  • 「いまの時間」は手作業のみで整理・転記・入力を行う場合の目安
  • 「AI化後」は、写真の読み取りと仕分けをAIに任せ、人は結果の確認と提出前の最終チェックのみを行う場合の目安
  • 台帳ソフトへの貼り付け作業自体(写真ファイルの登録操作)は含めていません

現場の写真枚数や台帳の書式によって差は出ます。あくまで目安としてご覧ください。

今日から使える指示文例

写真に写った黒板の内容をテキスト化してもらうときの指示文です。画像を読み取れるAIツールに、写真と一緒に渡します。

この工事写真に写っている黒板の内容を、次の項目に分けてテキストで書き出してください。

- 工事名
- 工種
- 測点または撮影箇所
- 撮影日
- 備考欄に書かれている内容

黒板の文字が読み取れない、または不明瞭な箇所は「不明」と書いてください。
推測で埋めないでください。

このテンプレートの「工事名」「工種」などの項目名は、自社の台帳フォーマットの項目に置き換えてください。 「不明」と出た箇所は、機械が読めなかった合図なので、その部分だけ人が写真を見て埋めます。

導入前チェックリスト

写真整理・台帳作成にAIを使い始める前に、次の3点を確認します。

  • □ 現場で撮影した写真を、事務所のパソコンやクラウドにどう集めているか(現状の受け渡し方法を先に確認する)
  • □ 台帳の記載項目・書式が現場ごとに違っていないか(項目がバラバラだと、AIに渡す指示文も現場ごとに変える必要がある)
  • □ 黒板の文字を読み取った結果を、誰が・どのタイミングで確認するか(確認の担当者と工程を先に決めておく)

この3点が曖昧なまま始めると、読み取り結果を誰も確認しないまま台帳に転記してしまう、といった事態につながります。

導入するときの注意点

写真や工事情報には、現場の位置情報や取引先の会社名が含まれます。2026年9月時点で、無料で使えるAIツールの中には、入力した内容を学習に使う設定が既定でオンになっているものがあります。設定画面で学習利用をオフにできるかどうかを、使い始める前に確認しておきます。

また、台帳の保存形式や保存期間は工事の種類によって定められている場合があります。AIで作った下書きをどの形式で保存するかは、社内の書類保存ルールと照らし合わせてから決めます。

よくある質問

工事写真の枚数が少ない現場でも効果はありますか。 月あたりの写真枚数が少ない現場では、削減できる時間も小さくなります。複数の現場を掛け持ちしている場合や、写真の仕分けに時間がかかっている場合に効果が出やすくなります。

黒板の手書き文字が汚くても読み取れますか。 文字の癖や逆光の状態によって読み取り精度は変わります。読み取れなかった箇所を「不明」として返す指示文にしておき、その部分だけ人が確認する運用にしておくと、誤った内容がそのまま台帳に入るのを防げます。

施工体制台帳の作成そのものをAIに任せられますか。 契約内容の転記や項目の整形はAIに任せられますが、契約金額や技術者配置が実態と合っているかの確認、台帳として提出できる状態かどうかの判断は人が行います。

小さい会社でも導入する意味はありますか。 事務担当者が少ない会社ほど、1人あたりの作業時間が減る効果を感じやすい傾向があります。まずは1現場分の写真整理だけで試してみる形で始められます。

出典(2026年9月8日調査)

  • 国土交通省 報道発表資料「建設業の各種金額要件や技術検定の受検手数料を見直します」 https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo13_hh_000001_00267.html (施工体制台帳の作成義務が生じる下請代金額の基準が5,000万円以上・建築一式工事は8,000万円以上であること、施行日が令和7年2月1日(2025年2月1日)であること、根拠が建設業法施行令第7条の4であることを確認。本文の金額・日付は公式発表と一致していたため修正なし)
  • 国土交通省 関東地方整備局「建設工事の適正な施工を確保するための建設業法」(令和8.2版) https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000699485.pdf (施工体制台帳・施工体系図の作成義務の根拠が建設業法第24条の8であることを確認)
理解度チェック

読んだ内容の確認に3問だけ。押すと答えが開きます。

Q1. 工事写真の黒板情報をAIに読み取らせて台帳の下書きを作らせた場合、その台帳をそのまま発注者に提出してよい。

× — AIが作るのは下書きまでで、内容の確認と提出可否の判断は人が担う(本文参照)。

Q2. 施工体制台帳に記載する下請契約の内容は、AIが自動で正誤判断してよい業務ではない。

— 契約内容の正誤判断は責任が伴うため、AIの役割は転記・整形までにとどまる(本文参照)。

Q3. 写真の黒板文字をAIに読み取らせる場合、読み取り誤りが無いか人が確認する工程は省いてよい。

× — 手書き文字や逆光の写真では読み取り誤りが起こり得るため、抜き取りで人が確認する運用が必要(本文参照)。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、制度・料金・ツールの仕様は公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。書いているのは社外AI推進室(福岡)の運営者です。誤りはお問い合わせから知らせてください。