画像生成AIの商用利用比較|規約の違い
画像生成AIで作った画像を、広告や商品ページにそのまま使ってよいかは、ツールと契約プランによって答えが変わります。 同じサービスでも無料版と有料の商用プランで利用条件が違うことがあり、生成した画像の著作権の扱いや、 学習データに起因するリスクへの対応もサービスごとに異なります。この記事では、比較の前に確認すべき規約の項目と、 画像制作にかかる時間の試算をまとめます。
画像生成AIで画像制作の何が変わるのか
これまで広告バナーや商品イメージ画像を作るときは、次のような流れが一般的でした。
- デザイナー・カメラマンへの発注、または既存の素材サイトからの購入
- 修正依頼のやり取り、納品までの待ち時間
- 使用範囲(Webのみか、印刷物にも使うか等)を確認したライセンス管理
画像生成AIは、この最初の「素材を作る」部分を社内で完結させられる道具です。 ただし作った画像をどこまで自由に使えるかは、素材サイトの利用規約を確認するのと同じように、 生成AIの利用規約も確認する必要があります。むしろ生成AIのほうが、著作権の帰属や学習データの扱いなど、 確認すべき項目は多くなります。
画像制作は月何時間の仕事か
広告・商品ページ・SNS投稿に使う画像の制作にかかる時間を、一般的な業務量から試算すると次のようになります。
| 業務 | いまの時間(月) | AI化後(月) | 差 |
|---|---|---|---|
| 広告バナーの制作(発注・修正依頼のやり取り含む) | 8時間 | 3時間 | 5時間 |
| 商品ページ用の商品イメージ画像作成 | 10時間 | 4時間 | 6時間 |
| SNS投稿用の画像作成 | 6時間 | 2時間 | 4時間 |
| 合計 | 24時間 | 9時間 | 15時間 |
試算の前提は次のとおりです。
- 月間で画像を10〜30点程度必要とする中小企業を想定
- 「AI化後」の時間には、生成した画像を確認し、商用利用規約に沿っているかをチェックする作業を含む
- 実在の人物やブランドロゴに似た画像が生成された場合の作り直し・修正にかかる時間は含んでいない
- 写真撮影が必須の商材(実物の質感・サイズ感を正確に伝える必要がある商品等)は、この試算の対象外
- 外部のデザイナー・カメラマンへの発注を完全にゼロにする前提ではなく、簡易な画像制作を内製化する前提
商用利用の前に確認すべき5つの規約ポイント
画像生成AIのツール紹介ページには「商用利用OK」と書かれていることが多いですが、 その一言だけでは自社の使い方に合うかが分かりません。次の5点を先に確認したほうが、 実際に使えるかどうかの判断を誤りにくくなります。
- 無料プランでも商用利用できるか: 無料プランは個人利用・非商用利用に限定し、 商用利用には有料プランへの加入を求めるツールがあります
- 生成物の著作権・利用権が誰にあるか: サービス側が著作権を持ち利用者に利用権だけを許諾する形と、 利用者に著作権が帰属する(と規約上定義されている)形があります
- 学習データに起因するリスクへの対応(補償の有無): 生成AIは既存の画像を学習して出力するため、 生成物が他者の著作物に似てしまう可能性があります。企業向けプランでは、こうした指摘を受けた際の 補償(インデムニティ)を用意しているサービスもあります
- 実在の人物・商標・ブランドロゴの写り込み: 生成した画像に実在の人物に似た顔や、 既存のブランドロゴに似た図柄が含まれてしまうことがあり、規約とは別に商標権・肖像権の問題が生じ得ます
- クレジット表記・帰属表示の要否: プランによっては、生成した画像を使う際に ツール名の表記を求められる場合があります
これらは各サービスの利用規約(Terms of Service)原文に書かれる内容であり、 規約は改定されることがあるため、契約前に必ず最新の原文を確認してください。
主要ツールの商用利用規約比較
画像生成AIの商用利用条件は改定が頻繁なため、以下は確認すべき項目の一覧です。 契約前に必ず各社の公式ページ・利用規約原文で最新情報を確認してください。
| サービス名 | 無料プランの商用利用 | 生成物の著作権の扱い | 学習データに関する補償 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| Midjourney | 規約上、無料/有料での利用条件の区別の明記なし(2026年9月時点。契約前に公式規約で確認) | 生成物(Assets)はユーザーが所有。ただし年商100万ドル超の企業はPro/Megaプラン加入が所有の条件 | Midjourney側からの補償の記載なし(逆にユーザーがMidjourney側を補償する条項あり) | 公式利用規約 |
| Adobe Firefly | ベータ表示のない機能の生成物は商用利用可(公式FAQに無料/有料の区別の明記なし、2026年9月時点) | 公式FAQに著作権帰属の明記なし | 法人向け(Adobe Express/Fireflyのサイトライセンス、一部のCreative Cloudエンタープライズ版)購入企業にIP補償の提供あり。学習データはライセンス済みコンテンツ(Adobe Stock等)とパブリックドメインと公式に説明 | 公式FAQ・Adobe Business |
| Stable Diffusion系(Stability AI) | Community Licenseで年商100万ドル未満なら商用利用無料(超える場合はエンタープライズライセンスが必要、2026年9月時点) | 生成物(outputs)はユーザーが所有と明記 | 公式ライセンスページに補償の記載なし | 公式ライセンス |
| ChatGPT画像生成(OpenAI) | 規約上、無料/有料での利用条件の区別の明記なし(2026年9月時点) | 出力の権利はユーザーに帰属(OpenAIが出力に関する権利をユーザーに譲渡すると規約に明記) | 一般向け利用規約には記載なし。法人向け規約(Business Terms)にはサービス起因の第三者知的財産権侵害への補償条項あり | 利用規約・Business Terms |
| Canva(Magic Media) | AIプロダクト規約にプラン別の利用条件の明記なし(2026年9月時点。契約前に公式規約で確認) | 生成物(Output)はユーザーが所有と明記(Canvaライブラリのライセンス素材を含む部分は除く) | AIプロダクト規約には補償の記載なし(法人向けの補償は別途の契約条件。公式サイトで確認) | AIプロダクト規約 |
料金は変わるため、契約前に必ず公式ページで最新の内容を確認してください。
どんな会社にどれが向くか
- 既存のデザインソフトと一体で画像を作りたい会社には、デザインツールに統合された 生成機能(Adobe Firefly等)が合います。切り抜き・文字入れ・レイアウトを同じ画面で完結できるためです
- 商品ページ・SNS投稿用の画像を、テンプレートに沿って大量に必要とする会社には、 テンプレート機能を持つツール(Canva等)が合います。デザインの知識がなくても体裁を揃えやすいためです
- 広告用のビジュアルなど、独自性の高い表現を重視する会社には、表現の幅が広いとされる 生成モデル(Midjourney等)を優先して確認したほうが、狙った雰囲気に近づけやすくなります
- 生成した画像や入力内容を外部のサーバーに送りたくない会社には、自社の環境で動かせる オープンモデル(Stable Diffusion系)を検討する価値があります。ただし導入・運用には 一定の技術的な準備が要ります
導入でつまずきやすい点
- 無料プランで作った画像を、確認せずに商用利用してしまう: プランごとの利用条件を 社内で共有していないと、担当者が個人の判断で無料プランのまま広告や商品ページに使ってしまうことがあります
- 実在の人物やブランドロゴに似た画像が生成される: 特定の有名人や既存のキャラクターに 近い画像が生成されることがあり、規約上は問題なくても、肖像権・商標権の観点で使用を避けたほうがよい場合があります
- 著作権の帰属を誤解する: 「生成物の著作権は利用者にある」と規約に書かれていても、 それが日本の著作権法上どこまで保護されるかは別の論点です。文化庁が 「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月)などの公的資料を公表しているため、 判断に迷う場合は文化庁の「AIと著作権」ページで最新の公的見解を確認してください
- 社内ルールが無いまま各担当者が個別に使う: 使ってよい範囲(社内資料のみか、対外的な広告にも使うか) を決めずに導入すると、後から使用済みの画像を差し替える手間が発生します
よくある質問
Q. 無料プランで作った画像を、そのまま商品ページに使ってもよいですか。 A. サービスによって異なります。無料プランは商用利用そのものを認めていなかったり、 有料プランより条件が狭かったりすることがあるため、使う前にプランごとの利用規約を確認してください。
Q. 画像生成AIで作った画像の著作権は誰のものになりますか。 A. サービスの規約によって定義が異なります。利用者に著作権が帰属するとされている場合と、 サービス側が権利を持ち利用者には利用権のみが許諾される場合があります。契約前に規約原文を確認してください。
Q. 生成した画像が、実在の人物や既存のキャラクターに似てしまったらどうすればよいですか。 A. 規約上の問題がなくても、肖像権・商標権の観点でトラブルになる可能性があるため、 似ていると感じた画像は使用を避け、別の画像を生成し直したほうが安全です。
Q. 学習データに他者の著作物が含まれていることが、後で問題になることはありますか。 A. あり得ます。生成物が既存の作品に似てしまい、権利者から指摘を受ける可能性はゼロではありません。 企業向けプランの中には、こうした指摘を受けた際の補償を用意しているサービスもあるため、 比較段階で確認しておく項目の一つです。
Q. 小さい会社でも画像生成AIを導入する意味はありますか。 A. 月間で必要とする画像の点数が少ない場合、削減できる時間も比例して小さくなります。 自社で月に何点の画像を作っているかを数えたうえで、この記事の試算と照らして判断したほうがよいです。
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Q1. 無料プランで生成した画像は、有料プランと同じ条件で商用利用してよい場合が多い。
× — 無料プランは商用利用そのものを認めていなかったり、有料プランより条件が狭かったりするツールがある(本文参照)。
Q2. 画像生成AIが作った画像には、学習に使われたデータの権利をめぐる指摘を後から受けるリスクがある。
○ — 学習データに他者の著作物が含まれている可能性があり、生成物が既存の作品に似てしまうことがある(本文参照)。
Q3. 商用利用の規約はどの画像生成AIでも同じ内容なので、契約前に個別に確認する必要はない。
× — 商用利用の範囲・著作権の扱い・学習データの補償の有無はツールごとに異なる(本文参照)。

