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AIとRPAと人材派遣|コストの比べ方

結論

AI・RPA・人材派遣は、同じ「人を増やさずに仕事を回す」ための手段でも、費用の発生の仕方が違います。 人材派遣は稼働時間に比例して費用が増え続けるのに対し、AIとRPAは最初の設定・学習に時間がかかるものの、 そこを超えると業務量が増えても費用の増え方は緩やかになります。ただし判断を伴う仕事はAI・RPAだけでは 完結せず、人が確認する時間が残ります。どれを選ぶかは、対象業務の「手順が決まっているか」 「判断を伴うか」で分かれます。

AI・RPA・人材派遣は何が違う道具か

3つとも「人手が足りない業務を埋める」目的では同じ土俵に並びますが、得意なことは違います。

  • AI(生成AIツール): 文章の下書き、要約、問い合わせへの一次回答案の作成など、 ある程度の判断が要る軽作業を助けます。出力は人が確認する前提です
  • RPA: 「決まった手順を機械に繰り返させる仕組み」です。画面上の操作手順をあらかじめ登録しておき、 同じ手順を人の代わりに実行します。判断は原則できません
  • 人材派遣: 派遣会社と契約した人が、指揮命令のもとで働きます。手順が決まっていない業務や、 電話・来客対応など人でなければ対応しにくい業務にも対応できます

AIとRPAは「機械に任せる」という点で近く見えますが、AIは判断を含む作業の下書きを作るのに対し、 RPAは判断を含まない作業をそのまま代行する点が違います。人材派遣は、この両方が苦手とする 「判断が要るが、まだ仕組み化されていない業務」を埋められる点が特徴です。

費用の発生のしかたが3つで違う

比較の前に押さえておきたいのは、料金プランの金額そのものより「費用がどう発生するか」の型です。

方式 初期費用の型 月々の費用の型 出典
AI(生成AIツール) 初期費用なしが多い 月額サブスク+利用量に応じた追加課金 (公的統計はなく、このサイト独自の目安)各社が個別に料金を設定しており、業界横断の統一的な公式統計はありません。代表例としてOpenAIのChatGPT公式料金ページでは、月額固定のサブスクリプション型が採用されています
RPA シナリオ設計・構築の費用(内製の人件費、または外注費) ライセンスの月額または年額 (公的統計はなく、このサイト独自の目安)RPAも同様に統一的な公式統計はありません。代表例としてUiPath公式料金ページでは、少人数向けの定額プランと、規模に応じて個別見積もりとなるプランに分かれています
人材派遣 求人・選考にかかる期間(費用が直接発生しない場合が多い) 時給×稼働時間に派遣会社のマージンを加えた金額 労働者派遣法第23条第5項により、派遣会社はマージン率(派遣料金と派遣労働者の賃金の差額の割合)の公表が義務付けられています。この仕組みからも「派遣料金=賃金+マージン」という料金構造は裏付けられます

料金は変わるため、契約前に必ず各社の公式ページで最新の内容を確認してください。

この表からわかるのは、人材派遣は「稼働した分だけ」費用が発生するのに対し、AI・RPAは 「最初に費やす時間」が先にあり、そこを超えると業務量が増えても費用の増え方が緩やかになりやすい、 という構造の違いです。逆に言えば、業務量が少ないうちはAI・RPAの初期費用が割高に見えることがあります。

同じ業務量で費用の増え方はどう変わるか

事務作業の一部を一般的な業務量から試算すると、次のようになります。

業務 人がすべて行う時間(月) AI・RPAを使った場合の人の確認時間(月)
請求書のデータ入力・照合 40時間 10時間 30時間
定型的な問い合わせへの一次回答 20時間 5時間 15時間
勤怠・経費データの集計 15時間 3時間 12時間
合計 75時間 18時間 57時間

試算の前提は次のとおりです。

  • 従業員30〜50名程度の中小企業で、経理・総務の担当者が上記業務を兼務している状況を想定
  • 「請求書の照合」はRPAでの自動化、「問い合わせへの一次回答」はAIによる下書き作成を想定した数字
  • AI・RPAを使った場合の時間には、出力・処理結果を人が確認する作業を含む
  • 例外的な書式の請求書や、判断を要する問い合わせへの対応は、この試算に含まない

差の57時間分を、3つの方式それぞれで埋めた場合の費用の増え方は次のように変わります。

  • 人材派遣で埋める場合: 57時間分の稼働をそのまま派遣スタッフの時間として計算します。 厚生労働省が毎年公表している「労働者派遣事業報告書の集計結果」には、派遣料金(8時間換算)の 全国平均額の実績がありますが、職種別・地域別の時給の内訳までは公表されていません (公的統計はなく、このサイト独自の目安)。仮に時給をx円とすると月額はおおよそ57×x円になり、業務量が増えるほど比例して増え続けます
  • RPAで埋める場合: 57時間のうち手順が決まっている部分(請求書照合など)はシナリオ化でき、 月々の追加費用はライセンス料が中心になります。ライセンス料は各社の料金プランで異なり、 業界横断の統一的な公式統計は見つかりませんでした(公的統計はなく、このサイト独自の目安)。業務量がシナリオの処理能力の 上限に達するまでは、費用の増え方が人材派遣より緩やかになりやすい構造です
  • AIで埋める場合: 一次回答の下書きなど判断の余地がある業務に向き、月額はツールの プラン料金が中心です。こちらも各社の料金プランで異なり、業界横断の統一的な公式統計は 見つかりませんでした(公的統計はなく、このサイト独自の目安)。人が確認・修正する 時間は残るため、削減できるのは主に「ゼロから作成する時間」です

どの業務にどれが向くか

順位を付けられる比較ではなく、業務の性質による条件分岐です。

  • 手順が完全に決まっている繰り返し作業が大量にある会社には、RPAが向きます。 請求書の転記、システム間のデータ移し替えなど、判断を挟まない作業ほど効果が出やすくなります
  • 文章の下書き・要約・一次回答の作成など、判断を伴う軽作業が多い会社には、AIが向きます。 ただし出力をそのまま使わず、人が確認する工程を残す前提での導入になります
  • 業務量が変動しやすく、電話対応・来客対応など人でなければ対応しにくい業務がある会社には、 人材派遣が向きます。繁忙期だけ稼働を増やすといった調整もしやすい方式です

併用するときの分担のしかた

3つは排他的な選択肢ではなく、多くの会社では組み合わせて使います。たとえば請求書処理の場合、 定型フォーマットの照合はRPAが担い、フォーマットが崩れていて機械が読み取れなかった分だけを 人材派遣スタッフが確認する、といった分担です。AIは、その確認結果をもとにした月次レポートの 下書き作成を担う、という形で組み合わせることもできます。

導入の順番としては、まず業務を「手順が決まっている部分」と「判断が要る部分」に分けたうえで、 決まっている部分から着手したほうが、どの方式が向いているかを判断しやすくなります。

導入でつまずきやすい点

  • RPAはシステムの画面変更に弱い: 対象システムの画面レイアウトが変わると、登録した手順が 動かなくなることがあります。定期的なメンテナンスの担当を決めておく必要があります
  • AIの出力を確認せずに使ってしまう: 下書きをそのまま送付・公開してしまうと、 誤った情報や不適切な表現が混ざったまま外部に出るリスクがあります
  • 人材派遣は契約期間・更新のルールがある: 労働者派遣法には「事業所単位」(同一の事業所で 派遣を受け入れられる期間、原則3年、第40条の2)と「個人単位」(同じ派遣スタッフを同じ組織単位で 受け入れられる期間、原則3年、第35条の3)の2つの期間制限があります。無期雇用の派遣スタッフや 60歳以上の派遣スタッフなど、対象外となる例外もあります。 契約前に自社の運用が制度に合っているかを確認したほうがよい項目です
  • 初期費用と稼働費用を混同して比較してしまう: RPAの構築費用を一時的な出費と考えず、 月々のライセンス料とまとめて年間コストで比較しないと、実際の負担を見誤ります

よくある質問

Q. AIとRPAは何が違うのですか。 A. RPAは決まった手順をそのまま繰り返す仕組みで、判断はできません。AIは文章の下書きや要約など、 ある程度の判断を含む作業の案を作りますが、出力は人が確認する前提です。

Q. 人材派遣とRPAを両方使う意味はありますか。 A. あります。手順が決まっている部分をRPAが担い、フォーマットが崩れているなど機械で処理できない 部分だけを人が確認する、という分担にすると、どちらか一方だけを使うより処理できる業務の幅が広がります。

Q. RPAの導入にはどのくらいの期間がかかりますか。 A. 対象業務の手順を洗い出し、シナリオとして登録する期間が必要です。RPA導入期間について 業界横断の統一的な公式統計は見つかりませんでした(公的統計はなく、このサイト独自の目安)。ベンダー各社の解説記事に 共通する傾向としては、手順が単純な業務であれば数日〜2週間程度、複数部署への展開や複雑な業務では 数か月かかることもあるとされています。自社の業務範囲での見積もりは契約前に確認したほうがよい項目です。

Q. AI・RPA・人材派遣、どれか1つだけ選ぶとしたら何を優先すべきですか。 A. 1つに絞る必要はありません。まず自社の業務を「手順が決まっている」「判断が要る」「人でなければ 対応しにくい」の3つに分けたうえで、それぞれに合う方式を当てはめたほうが無理がありません。

Q. 小さい会社でもこのコスト比較は意味がありますか。 A. 業務量が少ないうちは、RPA・AIの初期設定にかかる時間が割に合わないこともあります。 まず自社の対象業務が月何時間かを数えたうえで、この記事の試算と照らして判断してください。

理解度チェック

読んだ内容の確認に3問だけ。押すと答えが開きます。

Q1. RPAは手順が変わらない繰り返し作業に向いており、判断や例外対応が多い業務には不向きである。

— RPAは決められた手順を機械に繰り返させる仕組みで、判断が要る業務は人かAIが担う(本文参照)。

Q2. 人材派遣の費用は稼働時間に比例して増えるが、AI・RPAは設定後、業務量が増えても費用が同じ比率では増えにくい。

— 人材派遣は時給×稼働時間で費用が決まるのに対し、AI・RPAは初期設定を終えた後は追加費用の増え方が緩やかになりやすい(本文参照)。

Q3. AI・RPA・人材派遣はどれか1つを選べば、残りの2つは導入する必要がなくなる。

× — 業務の種類によって向き不向きが分かれるため、多くの会社では組み合わせて使う(本文参照)。