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AI-OCR(書類読み取り)ツール比較

結論

AI-OCRは、紙やPDFの書類に書かれた文字を読み取り、入力用のデータに変換する道具です。 請求書・領収書・注文書・申込書など、毎月同じ形式で届く書類の転記作業に向いています。 ただし読み取った結果をそのまま使えるわけではなく、確認・修正の作業は残ります。 比較で見るべきは「精度」の数字よりも、自社が扱う書類の種類に対応しているか、 読み取った後のデータを会計・販売管理システムにそのまま流し込めるかです。 この記事では業務時間の試算と、比較の前に確認すべき点をまとめます。

AI-OCRで何が変わるのか

書類の処理は、大きく3つの作業に分かれます。AI-OCRが担うのは主に最初の1つです。

  • 読み取り: 紙・PDF・画像から文字を認識してデータ化する(AI-OCRの主な役割)
  • 確認・修正: 読み取り結果が正しいか人が見て、誤りがあれば直す
  • 登録・転記: 確認済みのデータを会計ソフトや販売管理システムに登録する

「読み取り」を機械に任せても、「確認・修正」は残ります。この記事の試算でも、 確認作業の時間は削減後の時間に含めています。

書類の読み取り・入力業務は月何時間の仕事か

請求書・領収書の処理にかかる時間を、一般的な業務量から試算すると次のようになります。

業務 いまの時間(月) AI化後(月)
請求書の内容を会計システムへ手入力 12時間 4時間 8時間
領収書・経費精算書の仕分け・入力 8時間 3時間 5時間
注文書・申込書の内容確認と転記 6時間 2時間 4時間
合計 26時間 9時間 17時間

試算の前提は次のとおりです。

  • 月間の書類受領件数が中規模(月200〜400件程度)の会社を想定
  • 「AI化後」には、読み取り結果を人が確認・修正する時間を含む
  • 手書きの書類や、様式がバラバラな取引先からの書類は、印刷文字の書類より確認に時間がかかる
  • 会計・販売管理システムへの連携が自動化できていない場合、この試算より削減幅は小さくなる

比較の前に確認すべき4つの点

AI-OCRの紹介ページには「読み取り精度99%」のような数字がよく載っていますが、 その数字だけでは自社の書類に合うかが分かりません。次の4点を先に確認したほうが、 実際の作業時間への影響が大きくなります。

  • 対応する書類の種類: 定型の請求書だけでなく、手書きの伝票や取引先ごとに 様式が違う書類にも対応しているか
  • 確認画面の使いやすさ: 読み取り結果を人が見て直す作業が必ず発生するため、 誤りを見つけやすい画面になっているか
  • 既存システムとの連携: 読み取ったデータを会計ソフト・販売管理システムに 自動で渡せるか、それとも別途エクスポート・インポートの手間が要るか
  • 保存要件への対応: 電子帳簿保存法の保存要件(タイムスタンプ・検索要件等)への 標準対応の範囲はツールごとに異なるため、検討中のツールの公式サイトで最新の対応状況を確認する

この4点を先に決めてから比較表を見ると、対象を絞り込みやすくなります。

主要ツールの料金・機能比較

AI-OCRの料金・機能は変更が頻繁なため、以下は確認すべき項目の一覧です。 契約前に必ず各社の公式ページで最新情報を確認してください。

サービス名 手書き対応 会計システム連携 料金 出典
DX Suite(AI inside) あり(手書きやFAXも高精度なデータ化、2026年9月時点) API連携・CSV出力あり(会計システムの個別名は公式に明記なし) Lite: 月額40,000円〜(初期費用0円)、Standard: 月額100,000円〜、Pro: 月額200,000円〜(いずれも税抜・従量課金あり、2026年9月時点) 公式料金ページ
Tegaki(Cogent Labs) あり(ひらがな・カタカナ・漢字・数字等の手書き文字を認識) API連携・CSV/Excel抽出あり 公式サイトに金額の記載なし(要問い合わせ、2026年9月時点) 公式サイト
バクラク請求書受取(LayerX) 公式に明記なし(2026年9月時点) freee会計・マネーフォワード クラウド会計・勘定奉行クラウド等と連携 金額は公式に非公開(年間契約・処理件数により変動。料金表は資料請求、2026年9月時点) 公式サイト
Bill One(Sansan) 公式に明記なし(2026年9月時点) 勘定奉行クラウド・freee会計・マネーフォワード クラウド会計等と連携 初期費用+年額(受領する請求書の件数に応じて個別見積り)。金額は公式に非公開(2026年9月時点) 公式料金ページ
invoiceAgent AI OCR(ウイングアーク1st、2026年4月より「SVF Archiver」に名称変更) あり(手書きに強いエンジンを含む複数のAI OCRエンジンを搭載) Salesforce・ServiceNow・Box等と連携(会計システムの個別名は公式に明記なし) クラウド版: 初期費用20万円+月額3.5万円/10ユーザー〜(2026年9月時点) 公式サイト

料金は変わるため、契約前に必ず公式ページで最新の内容を確認してください。 すでにfreee会計・マネーフォワードクラウド等の会計ソフトを使っている場合、 そのソフトに内蔵されたOCR機能(freee会計はファイルボックスの自動読み取り、 マネーフォワードはクラウド債務支払等のOCR入力。いずれも2026年9月時点で公式ヘルプに記載あり)で 足りることもあります。新しいツールを追加する前に、いま使っているシステムの 機能を確認したほうが、比較の手間を減らせます。

どんな会社にどれが向くか

  • 請求書の受領がすでにデジタル中心(PDF添付が大半)の会社には、 会計・請求書受領サービスに寄ったツール(バクラク請求書受取・Bill One等)が合います。 読み取りから支払い管理まで一つの流れで扱えるためです
  • 紙の書類(手書き伝票・FAXでの注文書等)がまだ多い会社には、 手書き対応の実績が長いツール(DX Suite・Tegaki等)を優先して確認したほうが、 実際の読み取り精度で差が出やすくなります
  • すでに使っている会計ソフトにAI-OCR機能が内蔵されている会社は、 新しいツールを追加する前に、その機能で足りるかをまず確認したほうが、 導入の手間とコストの両方を減らせます

導入でつまずきやすい点

  • 精度への期待が高すぎる: 手書きや汚れた書類、独自の様式の書類は、 印刷文字の定型書類より誤読が起きやすくなります。確認作業がゼロにはなりません
  • 読み取り結果の行き先が決まっていない: 読み取ったデータをどこに、 どの形式で渡すかを決めずに導入すると、結局は手でコピーし直す作業が残ります
  • 取引先ごとに書式がバラバラ: 特に注文書・見積書は取引先ごとに様式が違うことが多く、 最初の設定・学習にかかる手間が請求書より大きくなる傾向があります

よくある質問

Q. 手書きの伝票もAI-OCRで読み取れますか。 A. 対応するツールは多くありますが、印刷文字より誤読が起きやすく、確認作業にかかる時間は 印刷文字の書類より長くなります。手書き書類が多い会社は、比較段階で手書きの読み取り精度を 重点的に確認したほうがよいです。

Q. 導入すればすぐに転記作業がなくなりますか。 A. なくなりません。読み取った結果を人が確認・修正する作業は残ります。この記事の試算でも 確認作業の時間を削減後の時間に含めています。

Q. 会計ソフトに内蔵されているAI-OCR機能と、専門のAI-OCRツールはどう違いますか。 A. 会計ソフト内蔵の機能は、そのソフトへの登録までを一つの流れでこなせる代わりに、 対応できる書類の種類や手書きへの対応力は専門ツールより限定的なことがあります。 対応範囲は各会計ソフトの公式サイト・ヘルプページで最新の内容を確認してください。

Q. 電子帳簿保存法の要件は、AI-OCRを導入すれば自動的に満たせますか。 A. ツールによって対応範囲が異なるため、自動的に満たせるとは限りません。検討中のツールが 保存要件(タイムスタンプ・検索要件等)にどこまで標準対応しているかを、そのツールの公式サイトで確認し、 制度そのものの要件は国税庁の電子帳簿保存法の案内ページで確認してください。

Q. 小さい会社でも導入する意味はありますか。 A. 月間の書類件数が少ない場合、削減できる時間も比例して小さくなります。 自社の書類件数から試算した削減時間と、ツールの料金を比べて判断したほうがよいです。

理解度チェック

読んだ内容の確認に3問だけ。押すと答えが開きます。

Q1. AI-OCRは、読み取った文字を一切確認せずそのまま会計システムに登録してよい。

× — 読み取り精度が100%にならない書類があり、確認画面での人による確認が前提になる(本文参照)。

Q2. 手書きの書類は、印刷された書類と同じ精度でAI-OCRに読み取らせられる。

× — 手書きは文字の癖や筆跡の差があり、印刷文字より読み取り精度が下がりやすい(本文参照)。

Q3. AI-OCRツールを比較するときは、読み取り精度の数字だけでなく、既存の会計・販売管理システムに連携できるかも確認したほうがよい。

— 読み取った後のデータをどこに流し込むかで、実際に削減できる作業時間が変わる(本文参照)。