AIで求人票を作る手順|応募が来る書き方

求人票の下書きはAIに任せられます。任せられないのは「自社の魅力を正しく言語化する」部分です。 情報を箇条書きで渡し、AIに文章化させ、人が事実確認と法令チェックをする。この分担なら 求人票1本あたりの作成時間は、一般的な業務量から試算すると60〜90分から20〜30分に縮みます(後述の試算)。 給与・労働時間などの明示事項や、差別的表現になっていないかの確認は、必ず人が行います。
求人票のどこをAIに任せられるか
求人票づくりは大きく4つの作業に分けられます。AIに任せられるのはこのうち2つです。
| 作業 | 内容 | AIに任せられるか |
|---|---|---|
| 情報収集 | 職種の業務内容・条件・自社の強みを洗い出す | 部分的(材料は人が出す) |
| 文章化 | 洗い出した情報を求人票の文章にする | 任せられる |
| 表現の調整 | 応募が来やすい見出し・訴求順に整える | 任せられる |
| 事実確認・法令確認 | 労働条件の明示漏れ・誇大表現・差別的表現の有無 | 任せられない |
AIが得意なのは「箇条書きを読みやすい文章に組み立てる」作業です。 逆に「本当にその条件で募集して問題ないか」「書いた内容が実態と合っているか」は、 AIには判断できません。ここは必ず人が見ます。
手順:情報を渡してから求人票が完成するまで
- 募集する職種の情報を箇条書きで書き出す 業務内容、必須条件、歓迎条件、給与レンジ、勤務時間、休日、勤務地、雇用形態。 ここは自社にしかない情報なので、AIではなく担当者が入力します。
- 自社の強み・働きやすさの材料を3〜5個足す 「未経験者の育成体制がある」「有給消化率が高い」など、他社と比べて言える事実だけを書きます。 事実がないのに「アットホームな職場です」と書かせると、応募後のミスマッチにつながります。
- AIに求人票の下書きを作らせる 1と2の箇条書きをそのままAIに渡し、「求人票の文章にして」と依頼します。 見出し構成(仕事内容・応募資格・待遇・応募方法)まで含めて出力させます。
- 人が事実確認をする AIが書いた文章の中に、渡していない情報が混じっていないか(AIが勝手に補って書いた表現)を確認します。 数字・条件は元の箇条書きと一語ずつ照合します。
- 法令・表現のチェックをする 労働条件の明示事項に抜けがないか、性別・年齢・国籍などを理由にした表現がないかを確認します。 ここは専門知識が要るため、社労士や求人媒体の審査基準を確認しながら進めます。
- 媒体ごとに文字数・フォーマットを調整する ハローワーク、求人サイト、SNS採用など、媒体によって文字数上限やフォーマットが異なります。 この調整もAIに任せられます。
応募が来る書き方にするための指示のコツ
AIに丸投げすると、当たり障りのない求人票になりがちです。応募につながる文章にするには、 AIへの指示の出し方を工夫します。
- 抽象語ではなく具体的な数字・場面を渡す 「やりがいがあります」ではなく「入社2年目で担当店舗を任される」のように、 読み手が場面を想像できる材料を渡します。
- 1日の流れを箇条書きで渡す 「9:00出社→朝礼→ピッキング→…」のように時系列で渡すと、AIが応募者目線の文章にしやすくなります。 仕事のイメージが湧かない求人票は、応募のハードルが上がります。
- 見出しの順番を指定する 「仕事内容を最初に、給与は3番目に」など、伝えたい順番を指示します。 条件面を先に出しすぎると、仕事内容を読む前に離脱されることがあります。
- 応募資格は「必須」と「歓迎」を分けて渡す 必須条件を絞り込むほど応募のハードルは下がります。歓迎条件まで必須のように書かせると、 応募数が減る原因になります。
時間はどれくらい削れるのか
求人票1本を作る作業を、担当者がゼロから書く場合とAIに下書きさせる場合で比べます。
| 作業 | いまの時間(人が最初から書く) | AI化後の時間 | 差 |
|---|---|---|---|
| 情報の洗い出し | 15分 | 15分 | 0分 |
| 下書き作成 | 30〜40分 | 5分(AI生成+一次確認) | 25〜35分 |
| 表現の調整・見出し整理 | 15〜20分 | 5分 | 10〜15分 |
| 事実確認・法令チェック | 10分 | 10分 | 0分 |
| 媒体ごとの再フォーマット | 10分×媒体数 | 3分×媒体数 | 7分×媒体数 |
| 合計(1媒体想定) | 約60〜90分 | 約20〜30分 | 約40〜60分 |
前提:求人票1本・1媒体あたりの作業時間。担当者1名がテキストエディタで下書きから作成する ケースを想定。複数媒体に出す場合は再フォーマットの差がさらに広がります。 実際の削減時間は、募集職種の複雑さや社内確認フローによって変わります。
注意すること:法令と表現のチェックは省略できない
求人票の労働条件明示は職業安定法(募集段階)にもとづく義務です。給与、勤務時間、就業場所、 契約期間の有無などは、書き漏らすと是正指導の対象になり得ます。入社後の労働契約締結時にも、 労働基準法にもとづき同様の明示が求められます。 AIが生成した文章は、渡した情報を文章化しているだけで、明示事項が法的に十分かどうかは判断していません。 AIが出力した求人票をそのまま掲載しないことが最大の注意点です。
2024年4月1日施行の改正職業安定法施行規則により、求人票に明示すべき事項が追加されています。 従来からの明示事項(業務内容、契約期間、試用期間、就業場所、就業時間、休憩時間、休日、 時間外労働、賃金、加入保険、受動喫煙防止措置、募集者の氏名または名称など)に加えて、 ①従事すべき業務の変更の範囲、②就業場所の変更の範囲、③有期労働契約を更新する場合の基準 (通算契約期間または更新回数の上限を含む)の3項目を明示する必要があります (出典:厚生労働省「2024年4月から、労働者の募集や職業紹介事業者への求人の申込みの際、 明示しなければならない労働条件が追加されます」https://www.mhlw.go.jp/content/001114110.pdf )。
また、性別を理由にした差別的な表現(男女雇用機会均等法5条)、年齢を理由にした差別的な表現 (労働施策総合推進法9条。長期勤続によるキャリア形成を目的とした募集など一部例外あり)、 国籍・信条・社会的身分などを理由にした差別的な表現(職業安定法3条)、実態と異なる好条件の表示 (いわゆる誇大な求人表示。職業安定法5条の4の的確表示義務)も禁止されています。 これらのチェックは、社労士への確認や求人媒体の審査基準の確認と合わせて行います。
よくある失敗
- 箇条書きを渡さず「うちの会社の求人票を作って」とだけ指示する AIは自社の情報を知らないため、一般的な表現で埋めた求人票が出てきます。事実確認が余計に増えます。
- AIが補った表現をそのまま採用する 「アットホームな職場」「風通しの良い社風」のような表現をAIが自動で足すことがあります。 元の箇条書きにない表現は、事実かどうかを確認してから使います。
- 1回の下書きで確定させる AIの下書きは「叩き台」です。人が読み直して、応募者の視点で違和感がないかを確認する工程を省略しません。
よくある質問
Q. 求人票の作成をすべてAIに任せてもいいですか。 下書きと文章の整えはAIに任せられます。労働条件の明示漏れや誇大表現がないかの最終確認は、 人が行う必要があります。
Q. AIに求人票を作らせるときはどんなツールを使えばいいですか。 文章生成ができるAIツールであれば作成可能です。社内の情報を入力するため、 入力内容が学習に使われない設定になっているかを確認してから使うことをおすすめします。 主要な生成AIツールの法人向け有料プラン(ChatGPT Business/Enterprise、Gemini for Google Workspaceなど)は、入力データをモデルの学習に使わない設定がデフォルトになっているのが一般的です。 ただし無料版・個人向けプランでは学習に使われる場合があるため、契約前に各社の規約で確認してください (2026年8月時点。仕様は変更される可能性があります)。
Q. 求人票の内容にAIが誤った情報を足すことはありますか。 あります。渡していない条件や実績をAIが自然な文章として補うことがあるため、 出力された文章と元の箇条書きを一語ずつ照合する工程が欠かせません。
Q. 複数の求人媒体に出す場合、媒体ごとに作り直す必要がありますか。 文字数やフォーマットは媒体ごとに異なるため調整は必要ですが、内容の骨格が同じであれば、 AIに媒体ごとのフォーマットへの再整形を任せられます。
Q. 求人票のAI活用で法令違反のリスクはどう減らせますか。 AIの出力を鵜呑みにせず、労働条件の明示事項をチェックリスト化して人が確認する運用にすることです。 不明点は社労士に確認します。
自社で求人票の作成にどれくらい時間を使っているか、そしてAIでどこまで減らせるかは、 無料のAI業務診断で概算できます。
読んだ内容の確認に3問だけ。押すと答えが開きます。
Q1. 求人票1本の作成時間は、AIに下書きさせることで60〜90分から20〜30分に短縮できる。
○ — 本文の時間試算表で、AI化により約40〜60分の削減ができると記載されている。
Q2. AIが生成した求人票は、労働条件の明示漏れや誇大表現がないか自動で判断している。
× — 本文では『AIには判断できない』『そのまま掲載しないこと』と明記されている。
Q3. 2024年4月施行の改正職業安定法により、求人票に『業務変更の範囲』『就業場所変更の範囲』『更新基準』の3項目が新たに明示義務に追加された。
○ — 本文で改正職業安定法施行規則による追加3項目が具体的に列挙されている。


