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Slack・ChatworkにAIを入れて社内問い合わせを減らす

結論

SlackやChatworkに社内向けのAIを入れると、減らせるのは「同じ質問への回答」です。 有給の残日数、経費精算のやり方、備品の発注先。担当者が毎回同じ内容を答えている問い合わせは、 AIに一次回答を任せられます。判断が要る相談(人事評価、契約条件の交渉)は任せられません。 一般的な業務量から試算すると、総務・情シスの担当者1人あたり月10〜20時間が空く計算になります (後述の試算)。

社内問い合わせのうち、何がAIに任せられるのか

まず「同じ質問が繰り返されているか」で仕分けます。

種類 AIに任せられるか
規程・ルールの確認 有給の申請方法、経費精算の上限 任せられる
定型作業の依頼 議事録フォーマットの送付、備品発注先の案内 任せられる
システムの操作方法 パスワード再設定手順、勤怠システムの入力方法 任せられる
個別の判断が要る相談 評価への異議、特別休暇の可否 任せられない
機密性の高い相談 人間関係のトラブル、給与の個別交渉 任せられない

判断の軸は「答えが社内規程やマニュアルに書いてあるかどうか」です。 書いてある内容を探して伝えるだけの問い合わせは、AIが規程を読み込んでいれば代わりに答えられます。 書いていない、あるいは状況によって答えが変わる相談は、人が判断する領域として残ります。

どれくらいの時間が減るのか

社員50名の会社を想定した試算です。

業務 いまの時間(月) AI導入後(月)
規程・ルールの問い合わせ対応 8時間 2時間 6時間
システム操作の問い合わせ対応 6時間 1.5時間 4.5時間
同じ資料・フォーマットの案内 4時間 1時間 3時間
合計 18時間 4.5時間 13.5時間

試算の前提

  • 社員50名、総務・情シス担当1名が問い合わせ対応を兼務している想定
  • 1件あたりの対応時間を5分、月間の問い合わせ件数を計216件(規程96件・システム72件・資料案内48件)と仮定
  • AI導入後も、AIが答えられなかった質問の2〜3割は担当者に転送されるとして残時間を計上
  • 実際の削減幅は、問い合わせ件数・規程の整備状況・社員のITリテラシーによって変わります

この試算は自社の業務量をもとにした概算であり、外部の統計ではありません。 自社の問い合わせ件数を当てはめて、同じ表で計算し直すことをおすすめします。

Slack・ChatworkにAIを入れる方法は2種類ある

「AIを入れる」といっても、やり方は大きく2つに分かれます。

1つ目は、チャットツールに用意されている公式のAI機能を使う方法です。 Slackにはチャンネル・スレッドの要約や、質問文での検索を行う「Slack AI」が組み込まれています (2025年6月以降、全有料プランに追加費用なしで含まれます。Slack公式ヘルプ)。 Chatworkにも、未読メッセージの要約や返信文の下書きを作る「Chatwork AI」機能があります(Chatwork公式)。 これは設定を有効にするだけで使えますが、社内規程を読み込んで質問に答える、という用途には向いていません。

2つ目は、社内規程やマニュアルを読み込ませた専用のAIを、チャット上のボットとして追加する方法です。 社員が「有給の申請方法は」とチャットに投げると、規程ファイルの中から該当箇所を探して答えるボットを作ります。 この方式は、規程の中身に答えさせたいときに使う本命の方法です。 SlackもChatworkも、外部のプログラムと連携してボットを追加するための公式API・開発者向けドキュメントを 公開しており、この仕組みの土台になります(Slack API、Chatwork APIドキュメント)。 実装には、規程ファイルをAIに読み込ませる仕組みと、チャットとAIをつなぐ設定が必要になります。 社内に詳しい担当者がいない場合は、外部の支援を受けて構築するのが現実的です。

導入の手順

  1. 問い合わせのログを1ヶ月分集める。 チャットの検索機能で「有給」「経費」などのキーワードを拾い、件数と内容を数える
  2. 上位10〜15個の質問をリストにする。 これがAIに答えさせる対象の核になる
  3. その質問に対応する規程・マニュアルを1ヶ所にまとめる。 散らばったファイルのままではAIも探せない
  4. 小さく試す。 総務部内だけ、1ヶ月だけなど、対象を絞って動かし、誤答が無いか確認する
  5. 誤答した質問を記録し、規程の書き方を直す。 AIの精度は、元の規程が曖昧だと上がらない

最初から全社・全業務に広げようとすると、規程の整理が追いつかず失敗しやすくなります。 1つの部門、1つのテーマ(たとえば経費精算だけ)から始めるのが安全です。

向かない問い合わせと、注意すべき点

AIに任せてはいけない、あるいは任せる前に対策が必要な問い合わせもあります。

  • 個人情報を含む相談は、AIに投げる前に匿名化するか、そもそも別の窓口に分ける
  • 規程に書かれていない例外対応は、AIが誤って「できます」と答えるリスクがある。回答の末尾に「最終確認は担当者へ」を必ず添える設計にする
  • 法律・契約に関わる判断は、AIの回答をそのまま社員に見せず、人が確認してから伝える
  • 導入後しばらくは、AIの回答を担当者が抜き取りチェックする期間を置く

AIは「規程を探して要約する」ことは得意でも、「この状況で例外を認めるべきか」は判断できません。 任せる範囲を最初に明確にしておくことが、誤答による混乱を防ぎます。

費用の目安

【一次情報なし】AIチャットボットの構築費用について、公的機関による統一調査は見当たりませんでした。 複数のベンダー・解説記事に共通する目安としては、AI搭載型で初期費用が10万〜100万円程度、 月額費用が3万〜50万円程度です(対応チャネル数・FAQ登録数・外部システムとの連携範囲で幅があります。 2026年8月時点)。なお、経済産業省の「IT導入補助金」は、チャットボット導入費用の一部 (通常枠、補助率1/2〜2/3、5万円〜150万円未満)を補助対象にしています。

社内向けのAI導入は、規程整理の工数が大半を占めるケースが多く、ツール自体の月額費用だけで判断すると 見積もりを誤りやすい点には注意が必要です。

よくある質問

Q. SlackとChatworkのどちらが社内AI導入に向いていますか。 どちらのツールでも、外部のAIサービスと連携する公式API・開発者向けドキュメントが用意されています。 向き不向きよりも、すでに社内で使っているツールをそのまま使う方が、社員の学習コストがかかりません。

Q. 社内規程が整理されていなくても導入できますか。 規程がバラバラな状態では、AIも正しい答えを探せません。 最初のステップとして、対象業務の規程を1つのファイルまたは1つのフォルダにまとめる作業が必要になります。

Q. 導入にはどれくらいの期間がかかりますか。 【一次情報なし】導入期間についても公的機関による統一統計はありません。複数の解説記事に共通する 目安では、クラウド型のFAQ機能だけなら1〜2週間、規程を読み込ませる生成AI型は1〜3ヶ月程度とされています。 対象を1つの部門・1つのテーマに絞った場合、規程の整理からボットの動作確認までを含めて、 1〜2ヶ月をひとつの目安として考えておくと計画が立てやすくなります。全社展開はその後、部門ごとに広げていく形になります。

Q. AIが間違った回答をしたら、誰の責任になりますか。 最終的な判断と責任は、AIを導入した会社側にあります。 だからこそ、AIの回答には「最終確認は担当者へ」といった注記を必ず添え、 重要な判断は人が確認する仕組みをセットで作る必要があります。

Q. 情報システム担当者がいない会社でも導入できますか。 社内に専任の担当者がいなくても、外部の支援を受けて構築することは可能です。 ただし、規程の整理や社員への周知は社内の人にしかできない作業なので、丸投げはできません。