社員10名の会社がAIで削減できる時間の目安|業務別の試算

社員10名規模の会社がAIに任せられる業務を洗い出すと、月あたり合計で30〜40時間ほどの削減余地があるというのが、一般的な業務量から試算した目安です。
経理・営業事務・総務・人事・顧客対応の5業務それぞれで、「型が決まった作業」をAIに任せた場合の削減時間を試算しました。時給換算すると、月11万円前後の人件費に相当します。
ただしこれは業務量・データの整い方によって変わる目安であり、実測ではありません。自社の数字に置き換えて使う前提で読んでください。
社員10名の会社で、削減できる時間はどのくらいか
先に全体像を示します。5つの業務それぞれに、その業務を担う社員が何人いるかを仮定し、1人あたりの削減時間に掛け合わせた表です。
| 業務 | 想定人数 | 1人あたりの差(月) | 会社全体の差(月) |
|---|---|---|---|
| 経理 | 1人 | 9時間 | 9時間 |
| 営業事務 | 2人 | 7時間 | 14時間 |
| 総務 | 1人 | 6時間 | 6時間 |
| 人事・採用 | 0.5人相当 | 5時間 | 2.5時間 |
| 顧客対応 | 1人 | 5時間 | 5時間 |
| 合計 | 約36.5時間 |
試算の前提: 社員10名のうち、上記5業務を兼任も含めて担当する社員が5.5人分いると仮定しています。営業・製造・施工など現場業務そのものはAI化の対象に含めていません。人数配分は業種によって大きく変わるため、自社の担当人数に置き換えて計算し直す前提の目安です。
会社全体で月36.5時間、年間で438時間ほどが削減の目安になります。1人あたりの月間労働時間を160時間(1日8時間×20日勤務の目安)とすると、社員0.2人分ほどの工数にあたります。
経理業務は、月9時間の削減が目安
経理でAIに任せられるのは、仕訳入力・請求書の突き合わせ・月次レポートの下書きの3種類です。判断が要る税務処理や資金繰りの判断は任せられません。
| 業務 | いまの時間(月・1人あたり) | AI化後の時間 | 差 |
|---|---|---|---|
| 仕訳入力 | 6時間 | 2時間 | 4時間 |
| 請求書の突き合わせ | 4時間 | 1.5時間 | 2.5時間 |
| 月次レポートの下書き | 4時間 | 1.5時間 | 2.5時間 |
| 合計 | 14時間 | 5時間 | 9時間 |
試算の前提: 会計ソフトの入力データをAIが下書きし、人が確認・修正する運用を想定しています。紙の請求書が多い、会計ソフトが古いなど、データが整っていない会社ではAI化後の時間が長くなります。
営業事務は、月7時間の削減が目安
見積書の下書き、提案書のたたき台作成、商談の議事録作成が対象です。価格交渉や契約条件の最終判断は人が行います。
| 業務 | いまの時間(月・1人あたり) | AI化後の時間 | 差 |
|---|---|---|---|
| 見積書の下書き | 4時間 | 1.5時間 | 2.5時間 |
| 提案書のたたき台作成 | 4時間 | 2時間 | 2時間 |
| 商談の議事録作成 | 4時間 | 1.5時間 | 2.5時間 |
| 合計 | 12時間 | 5時間 | 7時間 |
試算の前提: 過去の見積書・提案書のひな形をAIに読ませ、案件ごとの差分だけを人が直す運用を想定しています。案件ごとに一から作り直す会社では、この差はさらに大きくなります。
総務は、月6時間の削減が目安
メールの一次返信、社内からの定型的な問い合わせ対応、資料の整理・分類が対象です。
| 業務 | いまの時間(月・1人あたり) | AI化後の時間 | 差 |
|---|---|---|---|
| メールの一次返信 | 4時間 | 1.5時間 | 2.5時間 |
| 社内問い合わせ対応 | 3時間 | 1時間 | 2時間 |
| 資料の整理・分類 | 3時間 | 1.5時間 | 1.5時間 |
| 合計 | 10時間 | 4時間 | 6時間 |
試算の前提: よくある問い合わせをAIが下書き回答し、人が確認して送る運用を想定しています。総務は業務の幅が広いため、この3つ以外の業務は試算に含めていません。
人事・採用は、月5時間の削減が目安
社員10名規模では人事専任がいないことが多いため、他業務との兼任を前提に、担当時間を0.5人相当として計算しています。
| 業務 | いまの時間(月・1人あたり) | AI化後の時間 | 差 |
|---|---|---|---|
| 応募書類の一次確認 | 3時間 | 1時間 | 2時間 |
| 面接の日程調整 | 2時間 | 0.5時間 | 1.5時間 |
| 求人票の下書き | 3時間 | 1.5時間 | 1.5時間 |
| 合計 | 8時間 | 3時間 | 5時間 |
試算の前提: 採用の合否判断や面接そのものは人が行い、AIは書類の要点整理と日程候補の提示までを担う運用です。採用人数が多い時期はこの時間が増えます。
顧客対応は、月5時間の削減が目安
よくある質問への一次回答、FAQページの下書き作成が対象です。クレーム対応や個別の判断が要る問い合わせは人が対応します。
| 業務 | いまの時間(月・1人あたり) | AI化後の時間 | 差 |
|---|---|---|---|
| よくある質問への一次回答 | 6時間 | 3時間 | 3時間 |
| FAQページの下書き作成 | 3時間 | 1時間 | 2時間 |
| 合計 | 9時間 | 4時間 | 5時間 |
試算の前提: 過去の問い合わせ履歴をもとにAIが回答案を作り、人が最終確認してから送る運用を想定しています。個人情報や契約に関わる問い合わせは対象から外しています。
削減時間を金額に直すといくらになるか
36.5時間という時間の大きさは、金額に直すとつかみやすくなります。
| 前提 | 数値 |
|---|---|
| 会社全体の削減時間(月) | 36.5時間 |
| 想定時給【一次情報なし】 | 3,000円 |
| 削減額の目安(月) | 約11万円 |
| 削減額の目安(年) | 約131万円 |
試算の前提: 時給3,000円は、事務職の人件費(給与・社会保険料等を含む)を時間換算した仮の数値です。厚生労働省の賃金構造基本統計調査(結果の概況)には職種別の月額給与データはありますが、社会保険料等の事業主負担分まで含めた時給換算の人件費は公表されていません。実際の人件費は業種・地域・役職によって異なるため、自社の数字に置き換えて計算し直してください。
この金額は「AI導入費用を上回る効果があるか」を判断する材料の1つになります。導入にかかる費用の内訳は別記事で扱っています。
試算どおりにならないケースへの注意
ここまでの数字は目安であり、次のような会社では削減幅が小さくなります。
- 紙の書類・手書きの記録が多く、AIに読ませるデータが電子化されていない
- 業務のやり方が社員ごとにばらばらで、型が決まっていない
- 導入後にAIの出力を確認する工程を誰も担当していない
逆に、すでに業務が電子化されていて手順が統一されている会社では、この試算より大きな削減が出ることもあります。数字はあくまで検討の出発点として使ってください。
社員10名の会社のAI業務削減でよくある質問
Q. 社員10名の会社は、どの業務から始めるべきですか。 削減時間が最も大きい経理か営業事務から始めることをすすめます。型が決まった作業が多く、効果を実感しやすい業務です。
Q. この試算は自社にそのまま当てはまりますか。 当てはまりません。業種・業務量・データの整い方によって数字は変わります。ここでの数字は、自社で試算し直すための出発点として使ってください。
Q. 削減した時間で、実際に人を減らせますか。 すぐには減らせません。空いた時間は、これまで手が回らなかった業務(新規開拓、既存顧客のフォロー等)に振り向けるのが一般的な使い方です。
Q. 削減時間はどうやって測ればよいですか。 導入前の1〜2週間、対象業務にかかった時間を記録しておき、導入後3か月の時間と比較する方法をすすめます。感覚ではなく記録で比較することが要点です。
Q. 想定時給3,000円という数字の根拠は何ですか。 特定の統計調査から取った数字ではなく、事務職の人件費を時間換算した仮の目安です。自社の実際の人件費(給与・社会保険料等の合計を月間労働時間で割った値)に置き換えて計算することをすすめます。
自社の場合、どの業務で何時間削減できそうかは、無料のAI業務診断で概算できます。