生成AIの利用規約で見るべき点|入力が学習に使われるかの確認方法

生成AIの利用規約で確認すべきは「入力データが学習に使われるか」「データの保存期間」 「第三者への提供があるか」の3点です。 学習利用の既定は、サービスと契約の種類によって分かれます。 たとえばChatGPTはFree・Plus・Proのいずれも既定で学習利用がオンになっており、 設定でオフにする必要があります(OpenAI公式ヘルプ「How your data is used to improve model performance」より)。Claudeは2025年8月28日以降、Free・Pro・Maxの個人向けプランで サインアップ時に学習利用の可否を選ぶ方式に変わりました(Anthropic公式「Updates to Consumer Terms and Privacy Policy」より)。法人向け契約(ChatGPT Team・Enterprise・Business、 Claude for Work、Google Workspaceの各AI機能)は、いずれも既定で学習に使わない 扱いになっています(OpenAI公式「Enterprise privacy at OpenAI」、Anthropic Privacy Center、Google Workspace公式サイトより)。 一般的な業務量から試算すると、確認作業をチェックリスト化すれば 1ツールあたりの確認時間を目安で60分前後短縮できます(後述)。 設定は入力する前に済ませる必要があります。あとから学習利用をオフにしても、 それより前に入力した内容が既に学習run(学習の実行)に取り込まれていた場合、 その分を遡って取り消すことはできません(OpenAI公式ヘルプ、Anthropic公式ヘルプいずれも 「オプトアウトは今後の会話から適用される」「開始済みの学習からは削除できない」と明記)。
利用規約で確認すべき3つの項目
生成AIの利用規約は長く、全文を読み通すのは現実的ではありません。 見るべき箇所を3つに絞ると、確認作業は短くなります。
- 入力データが学習に使われるか:入力した文章や画像が、AIの性能を上げるための 学習データとして使われるかどうか
- データの保存期間:入力した内容がサービス側にどれくらいの期間残るか。 すぐに消去されるのか、一定期間保存されるのか
- 第三者への提供があるか:入力データが、開発元以外の会社(委託先など)に 渡ることがあるかどうか
この3つが確認できれば、取引先の名前や金額、個人情報を含む文章を そのサービスに入力してよいかどうかの判断材料が揃います。 利用規約の条文だけで判断がつかない場合は、 サービスが別途公開している「プライバシーポリシー」や 「データ利用に関するFAQ」もあわせて確認する必要があります。
「学習に使われる」とはどういう状態か
入力データが学習に使われるとは、入力した内容がそのままAIの回答として 別の利用者に表示されるという意味ではありません。 入力データが、AIの回答の精度を上げるための調整作業の材料になる、という意味です。
ただし、学習に使われたデータが完全に外部から見えなくなる保証はありません。 取引先名・金額・個人情報など、外部に出したくない情報を含む文章を入力する場合は、 学習利用が無効になっている設定であることを確認してから使う必要があります。
学習に使われるかどうかとは別に、次の点も確認しておくと安全です。
- 入力データを人間の担当者が確認する場合があるか (品質確認・不正利用の監視などの目的で)
- 消去を申請できる仕組みがあるか、申請してからどれくらいで消えるか
無料版・有料版・法人版で何が変わるか
同じ会社が提供するサービスでも、契約の種類によって 学習利用の扱いが異なります。代表的な3サービスを2026年8月時点で確認すると、 次のようになっています。
| サービス | 契約の種類 | 学習利用の既定 | 出典 |
|---|---|---|---|
| ChatGPT | Free・Plus・Pro(個人向け) | 既定でオン。設定 > データコントロールでオフにできる | OpenAI公式ヘルプ「How your data is used to improve model performance」 |
| ChatGPT | Team・Enterprise・Business(法人向け) | 既定でオフ | OpenAI公式「Enterprise privacy at OpenAI」 |
| Claude | Free・Pro・Max(個人向け) | 2025年8月28日以降、サインアップ時にユーザーが選択。同意すると5年保存、同意しないと30日保存 | Anthropic公式「Updates to Consumer Terms and Privacy Policy」 |
| Claude | Claude for Work(法人向け)・API | 既定でオフ(フィードバック送信時を除く) | Anthropic Privacy Center「Is my data used for model training?」 |
| Gemini | Google Workspaceの法人向けAI機能 | 学習に使わない(広告のターゲティングにも使わない) | Google Workspace公式サイト |
個人向けのGemini(Gemini Apps。無料版・Google AI Pro/Ultraとも共通)は、 「Keep Activity」という保存設定が既定でオンになっており、オンのままだと 会話が生成AIモデルの学習を含むサービス改善に使われ、人間の担当者が 内容を確認する場合もあります。無料版と有料版で扱いに区別は無く、 オフにするには設定から「Keep Activity」を切り替える必要があります (Google公式「Gemini Apps Privacy Hub」より)。
「有料だから安全」「法人契約だから大丈夫」と決めつけず、 契約のたびに規約かプライバシーポリシーで実際の記載を確認することが必要です。 記載が無い、または曖昧な場合は、サービス提供元に直接問い合わせて 書面やメールで回答をもらっておくと、あとから確認できる記録になります。
確認する場所の探し方
利用規約本文に「学習」「トレーニング」「モデルの改善」といった言葉で 検索をかけると、該当箇所が見つかりやすくなります。 見当たらない場合は、次の場所も確認します。
- アカウントの設定画面(プライバシー設定・データ管理といった名称のことが多い)
- サービスが別途公開しているプライバシーポリシー
- 企業向けプランの契約時に受け取る個別の契約書・覚書
代表的な3サービスの2026年8月時点の設定場所は次のとおりです(いずれも変更される 可能性があるため、導入を検討しているツールごとに公式サイトの最新情報で確認してください)。
- ChatGPT:プロフィールアイコン > 設定 > データコントロール > 「Improve the model for everyone」をオフ(OpenAI公式ヘルプより)
- Claude:プライバシー設定から「Help improve Claude」をオフ (Anthropic Privacy Centerより)
- Gemini:設定 > データとプライバシー から「Keep Activity」をオフ (Google公式「Gemini Apps Privacy Hub」より)
そのほかのサービスは、具体的な設定項目の名称や場所が異なり、更新も頻繁なため、 この記事では固定の手順を示しません。
確認作業にどれくらい時間がかかるか
一般的な業務量から試算すると、次のようになります。
| 作業 | いまの時間(目安・1ツールあたり) | チェックリスト活用後(目安) | 差 |
|---|---|---|---|
| 利用規約から該当箇所を探して読む | 45分 | 10分 | 35分 |
| 学習利用のオン・オフ設定を確認・変更する | 20分 | 5分 | 15分 |
| 確認結果を社内資料として記録する | 15分 | 5分 | 10分 |
| 合計 | 80分 | 20分 | 60分 |
試算の前提:社内で新しくAIツールを導入する際、担当者1人が利用規約を読んで 判断するまでの作業を想定しています。 チェックリストは「学習利用・保存期間・第三者提供・設定変更手順・確認日」を 定型の項目として並べたものです。 規約が複雑な場合や、法務担当者の確認を挟む場合は、この目安より時間がかかります。
社内で5〜10種類のAIツールを使っている会社であれば、 導入時の確認作業だけで合計5〜10時間程度の差になる計算です。 このほかに、規約は改定されることがあるため、 月に1回程度の定期確認(目安30分→10分)を組み込んでおくと、 設定が変わっていたことに気づかないまま使い続けるリスクを減らせます。
社内ルールにする
確認作業を毎回ゼロからやり直さないために、次の順番で仕組み化すると進めやすくなります。
- 確認項目をチェックリストにする:「学習利用の有無」「保存期間」 「第三者提供」「設定変更手順」「確認日」を定型フォーマットにする
- 新しいツールを使い始める前に必ず確認する:社員が個人の判断で ツールを使い始める前に、チェックリストを通す運用にする
- 確認結果を一覧で管理する:ツールごとの確認結果を一覧表にしておくと、 次に似たツールを検討するときの判断が早くなる
- 定期的に見直す:規約は変わることがあるため、 半年に1回程度、既に導入済みのツールも見直す
個人情報や取引先の機密を含む文章を入力する場面が多い会社は、 チェックリストの運用を社内規程として明文化しておくことをおすすめします。
生成AIの利用規約の確認方法についてよくある質問
Q. 利用規約に「学習に使わない」と書いてあれば、それだけで安心してよいですか。 規約の記載だけでなく、実際の設定画面で学習利用がオフになっているかも確認する必要があります。 規約上はオフにできると書かれていても、初期設定ではオンになっている場合があるためです。
Q. 過去に入力したデータをあとから学習対象から外すことはできますか。 ChatGPT・Claudeとも、オプトアウトの設定は今後の会話から適用され、 既に学習の処理に取り込まれた過去のデータを個別に取り消すことはできないと 公式ヘルプで説明されています(OpenAI公式ヘルプ、Anthropic Privacy Centerより)。 入力する前に設定を確認しておくほうが、あとから対応するより確実です。
Q. 社員が個人のアカウントで無料版のAIを使っている場合、会社として確認する必要がありますか。 会社の業務に関する文章を入力しているのであれば、 会社として使ってよいツールかどうかを確認する対象になります。 個人のアカウントだからといって、会社のデータの扱いの責任が無くなるわけではありません。
Q. 利用規約を読んでも学習利用について書かれていない場合はどうすればよいですか。 記載が無い、または曖昧な場合は、機密性の高い情報を入力しないか、 サービス提供元に直接問い合わせて回答を記録に残すことをおすすめします。 記載が無いことを「使われない」と解釈しないでください。
Q. 利用規約のチェックは誰が担当するべきですか。 決まった正解はありませんが、総務・情報システム担当がチェックリストを運用し、 判断に迷う場合は法務担当者や顧問弁護士に確認する体制にしている会社が一般的です。
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