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経理

請求書発行の作業を減らす|手作業をなくす3つの段階

結論

請求書発行の作業は「作成」「送付・入金消込」「未入金の催促」の3段階に分けられます。 AIと定型化に任せやすいのは、転記と突き合わせが中心の1段階目と2段階目です。 一般的な業務量から試算すると、月100件の請求書を扱う会社で、 社員1人あたり月10〜18時間が空く計算になります(後述の試算)。 一方で「取引先ごとの支払い条件の例外対応」や「督促の言い回しの調整」は、 関係性への配慮が要るため、最後まで人が判断する部分として残ります。

請求書発行はなぜ時間がかかるのか

請求書発行は1つの作業に見えて、実際は複数の工程の積み重ねです。

  • 受注データや納品実績から、請求対象を洗い出す
  • 取引先ごとのフォーマット・締め日・支払い条件に合わせて内容を整える
  • 請求書を発行し、郵送またはメールで送付する
  • 入金予定日を過ぎたら、通帳や入金データと照合する
  • 未入金があれば、取引先に確認・催促の連絡をする

この一連の流れのうち、時間がかかっているのは「転記」と「照合」です。 どちらも手順は決まっているのに、件数が増えるほど作業時間が比例して伸びます。 逆に「取引先への配慮が必要な連絡」は件数が少なくても神経を使う業務で、 時間だけでは測れない負担になっています。

段階1: 請求書の作成にいま何時間かかっているか

作成段階は、受注・納品データを請求書の形に整える工程です。 取引先が多い会社ほど、フォーマットの違いに合わせる手間が積み重なります。

工程 いまの時間(1件あたり) AI化後の時間
請求対象データの抽出・確認 8分 2分 -6分
取引先別フォーマットへの転記 10分 2分 -8分
金額・税区分のチェック 5分 2分 -3分
PDF化・送付準備 5分 1分 -4分
合計(作成のみ) 28分 7分 -21分

試算の前提: 月100件の請求書を1人が作成、時給2,500円、受注・納品データが 会計ソフトまたはスプレッドシートで一元管理されている状態を想定。 取引先ごとの特殊な支払い条件の確認時間は含みません。 月100件で試算すると、21分×100件=約35時間が月あたりの削減目安になります。 ただし取引先ごとにフォーマットが大きく異なる会社では、 最初の設定作業に時間がかかり、この削減幅に届くまで数か月かかることがあります。

段階2: 送付と入金消込にいま何時間かかっているか

請求書を送って終わりではなく、入金されたかどうかの確認まで含めて1つの業務です。 この照合作業は地味に時間を食いますが、パターン化しやすい部分でもあります。

工程 いまの時間(月100件あたり) AI化後の時間
メール・郵送での送付作業 5時間 1.5時間 -3.5時間
入金データと請求書の突き合わせ 8時間 2時間 -6時間
消込結果の記録・会計ソフト反映 3時間 1時間 -2時間
合計 16時間 4.5時間 -11.5時間

試算の前提: 月100件、送付先の8割がメール送付、入金データが ネットバンキングまたは会計ソフトから取得できる状態を想定。 郵送のみの取引先が多い会社では、送付作業の削減幅は小さくなります。

作成段階と合わせると、月あたりの削減目安は約35時間+約11.5時間で、 概算46.5時間になります。ただしこれは条件が揃った場合の上限に近い数字で、 実際には取引先ごとの例外対応や確認工程が残るため、 冒頭で示した「月10〜18時間」を保守的な目安として見ておくのが実態に近いところです。

段階3: 催促はなぜ最後まで人が対応すべきか

未入金への催促は、他の2段階と性質が違います。 「誰に」「いつ」「どんな言い回しで」連絡するかは、 取引先との関係性や過去のやり取りの経緯によって変わるためです。

業務 AIに任せられるか 理由
未入金一覧の抽出・入金予定日との突き合わせ 任せられる データの照合作業
催促連絡が必要な取引先のリストアップ 任せられる 条件に基づく抽出
初回の丁寧な確認メールの下書き作成 条件付きで任せられる 文面は人が最終確認する前提で下書きまで
支払い遅延が続く取引先への督促の言い回し 任せられない 関係性への配慮と交渉判断が必要
支払い条件の変更・分割払いの相談対応 任せられない 経営判断そのもの

境界線は「連絡の中身に交渉や配慮の判断が入るかどうか」です。 未入金一覧の作成までは機械に任せ、実際の連絡文面と送信は人が行う、 という分担にすると、負担を減らしつつリスクも抑えられます。

すぐ始められる手順

3段階まとめて自動化しようとすると、設定作業が重くなり途中で止まりがちです。 作成段階から順に着手します。

  1. 請求データの発生元を1か所に決める。 受注管理・納品管理・会計ソフトが バラバラなままだと、どこにも正しい請求対象データが無い状態になります。
  2. 取引先別のフォーマット・締め日・支払い条件を一覧にする。 担当者の頭の中に ある情報を書き出す作業で、ここが自動化全体の土台になります。
  3. 定型の取引先(フォーマットが標準的なところ)から請求書作成を自動化する。 特殊な取引先は後回しにし、対象を絞って始めます。
  4. 入金データと請求書の突き合わせを自動化する。 ネットバンキングの 入金明細と請求書番号を紐づけられる状態にしておくことが前提です。
  5. 未入金一覧の抽出だけを自動化し、連絡文面と送信は人が行う。 最初から催促の自動送信までは行わず、リストアップの段階で止めます。

作成した請求書と消込結果は、最初の1〜2か月は人が最終確認する運用にします。 金額や取引先名の誤りがそのまま送付されると、信用に関わる問題になるためです。

どのツールを使うか

請求書発行の自動化には、大きく2つの方向があります。

方向1: 会計ソフト・請求書クラウドサービスの発行機能を使う。 受注データを取り込むと請求書を自動生成し、入金消込まで対応するサービスが 複数出ています。設定を作れば、取引先ごとのフォーマット管理もソフト側で行えます。

方向2: 表計算ソフトとAIチャットツールを組み合わせる。 既存のExcel・スプレッドシート管理をベースに、転記作業をAIに読み込ませて 下書きを作らせる方法です。追加のツール費用を抑えられますが、 入金消込の自動照合までは別途仕組みを作る必要があります。

例えば、freee請求書は無料プランのほかに月1,980円のスタンダードプラン、 月10,000円のアドバンスプランがあり、入金明細の自動取得と債権管理・入金消込の 自動化はアドバンスプランでのみ利用できます(2026年8月時点、freee公式サイト https://www.freee.co.jp/invoice/pricing/ より)。一方でマネーフォワード クラウド請求書Plusのように、料金が個別見積もりになっているサービスもあります。 いずれの場合も、入金消込まで使うには上位プランか個別契約が必要になることが 多い、という前提で比較すると選びやすくなります。

どちらの方向でも、ツールを選ぶ前に取引先別の条件一覧を作っておくと、 導入後の設定作業がその一覧をそのまま流し込むだけで済みます。

失敗しやすいポイント

  • 取引先ごとの例外条件を洗い出す前にツールを入れる。 例外が後から 次々に見つかり、都度手動対応が発生して結局工数が減りません。
  • 入金消込の自動照合を過信し、確認を省略する。 振込手数料の差引や 合算入金など、機械的な突き合わせだけでは判定できないケースが一定数残ります。
  • 催促連絡まで機械任せにする。 支払いが遅れている取引先への連絡は、 文面や送信タイミングを誤ると関係を損ないます。人の確認を挟む前提にします。
  • 担当者1人だけが取引先条件を把握している。 一覧化されていない状態では、 その担当者が不在のときに請求業務全体が止まります。

よくある質問

Q. 請求書発行のAI化は、何から始めればいいですか。 まず受注・納品データの発生元を1か所に決め、取引先ごとのフォーマットと 支払い条件を一覧にすることから始めます。この一覧が無いと、 どのツールを使っても設定作業でつまずきます。

Q. 入金消込も完全に自動化できますか。 定型的な入金であれば自動照合できますが、振込手数料の差引や合算入金、 分割入金などは自動判定が難しく、人の確認を残す必要があります。

Q. 催促の連絡まで自動で送ってもいいですか。 おすすめしません。未入金一覧の抽出までは機械に任せられますが、 実際の連絡文面と送信タイミングは、取引先との関係性を踏まえて 人が判断する部分として残すべきです。

Q. 取引先が少ない会社でも効果はありますか。 件数が少ないほど削減できる時間も小さくなります。まずは自社の月間件数と 1件あたりの作業時間を洗い出し、削減見込みを試算してから判断することをすすめます。

Q. 既存の会計ソフトを使ったまま導入できますか。 会計ソフトに請求書発行・入金消込の機能が備わっている場合は、 新しいツールを追加せずにその機能を使う方法もあります。 まず今使っているソフトの機能範囲を確認することをすすめます。


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