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議事録作成をAIに任せる|精度を実用レベルにする使い方

結論

議事録作成でAIに任せられるのは「音声を文字にする」「文字を要約してまとめる」の2つです。 決定事項の確認や、発言の意図を汲んだ要約は、人の確認が必要です。 一般的な業務量から試算すると、1回1時間の会議の議事録作成が90分から20分程度まで 減る計算になります(後述の試算)。ただし精度を実用レベルまで上げるには、 録音環境と専門用語の登録、下書きの確認手順を先に整える必要があります。 何も整えずにAIの出力をそのまま配布すると、誤字と誤った発言者の紐づけが そのまま社内に流れることになります。

議事録作成でAIに任せられる範囲はどこまでか

議事録作成は、実際には複数の作業に分かれています。AIに任せられる部分と、 人が残す必要がある部分を分けると、次のようになります。

作業 AIに任せられるか
会議の音声を文字に変換する 任せられる。録音の質が良ければ精度は高い
発言を要約して箇条書きにする 任せられる。ただし要約の粒度は人が指定する必要がある
決定事項と未決事項を仕分ける 一部任せられる。AIの下書きを人が確認する前提が必要
誰が何を言ったかを正しく紐づける 対面の複数人会議では精度が落ちやすく、人の確認が要る
次回までのタスクと期限を割り振る 任せにくい。担当者の判断が必要な部分が多い

つまり「文字にする」「要約の下書きを作る」までは機械に任せられますが、 「誰が何を決めたか」を確定させる作業は、人が最後に見る工程として残ります。 この線引きを最初に決めておかないと、AIが出した下書きをそのまま 議事録として配布してしまい、後から誤りに気づく事態が起きます。

議事録作成にかかる時間はどれくらい減るか

一般的な中小企業の業務量から試算すると、次のようになります。

業務 いまの時間 AI活用後の時間
1時間の会議1回あたりの議事録作成 90分 20分 70分
月10回の会議を担当する場合(月合計) 15時間 約3.3時間 約11.7時間

前提:担当者1名が、会議の録音を聞き直しながら手作業で議事録を 作成している場合を「いまの時間」としています。AI活用後は、 文字起こしと要約の下書きをAIが作り、担当者が内容を確認して 決定事項を確定させる作業のみを行う想定です。会議の人数が多い、 専門用語が多い、対面での自由討議が中心といった会議では、 確認作業が増えるため、削減幅はこれより小さくなります。

精度を実用レベルにする使い方

議事録作成AIの精度は、使い方でかなり変わります。ここが本記事の中心です。

録音環境を整える

AIが文字を聞き取る精度は、音質にそのまま影響されます。オンライン会議で 各自が自分のマイクを使って話す場合は精度が高くなりやすい一方、 対面会議で1台のマイクを部屋の中央に置いて複数人が話す場合は、 声の重なりや距離によって聞き取り誤りが増えます。可能であれば、 対面会議でも参加者一人ひとりにマイクを近づける、発言者が挙手してから 話すなどの運用ルールを決めておくと、誤りが減ります。

専門用語・固有名詞を事前に伝えておく

社内特有の商品名、略語、取引先の名前は、AIが一般的な言葉に 誤変換しやすい部分です。会議の冒頭で頻出する固有名詞を一言 読み上げておく、または議事録の下書きが出た後に固有名詞だけを 機械的に検索して置き換える、といった運用でカバーできます。 たとえばNottaやリコーのtorunoには、固有名詞の読みと表記を あらかじめ登録できる辞書機能が用意されています。登録できる語数は プランによって異なり、Nottaは無料プランで3語、プレミアムプランで 200語、ビジネスプランで1,000語まで登録できます(Notta公式ヘルプ センター「単語登録はできますか?」、2026年8月確認)。torunoは ユーザー辞書が1,000語、テナント辞書が300語まで登録できます (toruno公式ヘルプセンター「辞書機能(単語登録機能)」、2026年8月確認)。

要約の粒度をテンプレートで固定する

AIに「議事録を作って」とだけ指示すると、会議ごとに要約の粒度が バラつきます。「決定事項」「未決事項・持ち越し」「次回までの タスクと担当者」の3項目に固定したテンプレートを用意し、 その形式で出力するよう毎回同じ指示を出すと、読み手が 探す手間が減ります。

AIの下書きは「たたき台」として扱う

AIが作った議事録は、その場で確定させず、一度人が読んでから 配布する運用にします。特に金額、日付、担当者名、数量といった 数字や固有名詞を含む箇所は、誤りが残っていても文章として 自然に読めてしまうため、見落としやすい部分です。この3点(金額・ 日付・担当者名)だけは配布前に目視で確認する、という 最低限のルールを決めておくと、誤配布のリスクを減らせます。

導入前に確認すること

議事録作成AIを社内で使い始める前に、次の点を確認しておく必要があります。

  • 録音・文字起こしをするデータがどこに保存されるか:クラウド上に 保存される仕組みのツールが多く、社外秘の会議内容を外部のサーバーに 送ることになります。取引先との商談や、人事に関する会議など、 社外への持ち出しに注意が必要な内容を扱う場合は、保存先と 保存期間、削除の可否を事前に確認してください データの保存先・保存期間・削除の可否はツールごとに違うため、導入前に利用予定ツールの公式ページで確認してください
  • 参加者への録音の同意をどう取るか:会議を録音してAIに読み込ませる場合、 参加者に録音していることを事前に伝える運用にしておく方が、 後のトラブルを避けられます
  • 料金体系:文字起こしの分数に応じた従量課金か、月額固定かで、 会議の頻度によって費用感が大きく変わります 料金は改定が多いため、契約前に利用予定ツールの公式料金ページで最新の価格を確認してください
  • 既存のカレンダー・Web会議ツールとの連携:会議の録音を手動で アップロードする運用か、カレンダーと連携して自動で記録が始まる 運用かで、現場の負担が変わります

議事録AI導入でよくある失敗

  • 精度を確認せずに全社展開してしまう:1つの部署・少人数の会議で 試してから展開する方が、専門用語の多さや会議形式による精度差に 気づきやすくなります
  • 下書きをそのまま配布してしまう:確認の工程を省略すると、 誤った発言者の紐づけや数字の誤りがそのまま社内に流れます
  • 録音の同意を取らずに使い始める:参加者が録音を知らないまま 会議が記録されると、後で信頼関係の問題に発展することがあります
  • 要約の粒度を決めずに使い始める:毎回違う形式の議事録が 出来上がり、読み手が必要な情報を探す手間がかえって増えます

FAQ

Q. 議事録作成AIは無料で使えますか。 A. 無料プランを用意しているツールもありますが、多くは文字起こしの 分数や回数に上限があります。たとえばNottaの無料プランは文字起こしが 月120分まで・1回の処理は3分までです(Notta公式ブログ「Nottaの無料 プランでできることとは?有料プランとの違いも徹底解説!」、2026年8月 確認)。tl;dvの無料プランは、1回の録画・文字起こしは最大3時間まで 可能ですが、AIによる要約(AIメモ)が会議の全文に対して作られるのは アカウント開設後の最初の10回までで、月ごとにリセットされる回数では ありません。11回目以降は、各会議の最初の10分間だけに要約が付く 仕様です(tl;dv公式ヘルプセンター「What are the limits of the Free plan?」、2026年8月確認)。継続的に業務で使う場合は、有料プランの料金体系を 確認したうえで検討する必要があります。

Q. 対面会議でもAIの精度は落ちませんか。 A. 落ちやすい傾向があります。複数人が同じマイクで拾われる環境では、 声の重なりや距離によって聞き取り誤りが増えます。参加者ごとに マイクを近づける、発言者を明確にしてから話すといった運用で 精度を補う必要があります。

Q. 社外秘の会議内容をAIに読み込ませても大丈夫ですか。 A. ツールによってデータの保存先や保存期間が異なります。 機密性の高い会議で使う場合は、事前に保存先・削除ポリシーを 確認し、必要であれば社内のセキュリティ担当者に相談してから 導入する方が安全です。

Q. 議事録の要約はどこまで信用してよいですか。 A. 文字起こしの精度が高くても、要約の際に発言の意図を 取り違えることがあります。特に金額・日付・担当者名・数量は、 配布前に人の目で確認する運用にしておくことをおすすめします。

Q. AIが作った議事録をそのまま議事録として正式採用してよいですか。 A. 会社によって議事録の位置づけ(社内共有用か、契約・稟議の 根拠資料として扱うか)が異なります。後者として使う場合は、 確認・承認の工程を明確に決めたうえで運用してください。